2023年9月に高炉が休止される川崎区扇島のJFEスチール東日本製鉄所京浜地区の跡地利用について、川崎市は4月21日、検討方針の中間報告を公表した。「地球温暖化の進行」「産業構造の転換」を解決するフィールドと位置づけ、災害時の拠点としての役割も明記された。市は30年度には一部の土地の利用を開始するとしている。
市は対象となる222ヘクタールの土用利用方針を今年度中に策定。現在、JFEホールディングスと協議。あわせて学識経験者らからも意見を聞き取っている。
中間報告によると、土地利用の方向性については、4つの取り組みを展開。国が大胆な規制緩和を行うとともに複数分野のデータ連携と先進的サービス提供で未来の生活を先行して実現する「スーパーシティ」の形成を目指すことを掲げる。具体的には、扇島には大深水バース(係留施設)を備え、周辺エリアでは温室効果ガスを実質ゼロにするカーボンニュートラルエネルギーの導入が進められている特性を活用し「日本のカーボンニュートラルを先導するエリア」と位置づけ。また、防災拠点と連携する復旧・復興支援機能や多目的に活用できるオープンスペースの整備による「首都圏の強靭化の実現」を示した。このほか、「新たな価値や革新的技術の創造」に向け、AI(人工知能)や様々なものをインターネットにつなぐIoT、ロボティクス(ロボットに関する技術研究)などの研究、開発機能の整備、短期滞在型スマート住宅などの導入を挙げた。
交通インフラの整備についても言及。短中期的取り組みでは、首都高湾岸道路の新たな出入り口整備や国道357号線の改修を検討とし、長期的取り組みでは、扇島から扇町方面を結ぶアクセスの可能性を検討することを盛り込んだ。
市は今後、高炉休止によって影響を受ける周辺地区についても、土地利用のあり方を検討するとしている。
公表を受け、福田紀彦市長は「川崎の100年に1度のビッグプロジェクトが最初の大きな一歩を踏み出した。川崎だけでなく、首都圏や国全体の発展に、より一層貢献できる土地利用を目指し、検討を進めていく」とのコメントを出した。
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