若手有志が人情村芝居 90年続く伝統芸能後世へ
緑区の青野原・長野地区で、90年以上も地域の伝統芸能として受け継がれている村芝居が5月23日(土)、諏訪神社に隣接する長野会館で開催される。住民の親睦を深めようと3年に1度行われている催しは、担い手の数が次第に減少していく中でも、若手有志が継承に向けて動くことで、伝統の灯をともし続けている。
明治時代から津久井の各地区で数少ない娯楽として行われてきた村芝居や村歌舞伎。藤野地区では農家が奉納祭などで披露していた村歌舞伎が、戦後しばらくして衰退する中、地元有志が復活に向け尽力し、1992年に藤野歌舞伎保存会を設立。昨年には「緑区らしい催しを」と区が主催して、各地区の伝統芸能を集めた「村芝居フェスタ」を開催するなど、世代間を越えた住民交流を図るツールとして伝統芸能が見直されている。
そうした中、山間部にあり、養蚕と炭焼きが盛んな長野地区では、大正末期から、地域の若者が自ら演劇や舞踊を練習して、その成果を村人に披露。以後、村芝居を披露する日を「村の春祭り」と決定し、毎年開催されてきた。しかし、担い手となる若者の減少により、24年前からは3年に1度の上演となったが、90年もの長きに渡り、定期的に絶え間なく、村芝居が上演されているのは県内でも珍しいという。
5月23日時代劇を上演
村芝居は歌謡や舞踊も行われる「春の演芸会」の中で上演。約180世帯で作る「長野戸主会」(尾崎久志会長)と、夏祭りやお宮参りなど地元祭事を支える若手有志で作る「青友会」(尾崎聡会長、会員33人)が共催する。
5月23日(雨天時は24日に順延)の演目は、人情時代劇『親恋唄 丹沢しぐれ』全三幕3場。脚本、演出、演劇指導は長野地区出身で、現在は東京都福生市を中心に活動する「喜楽大衆劇団」の山崎博座長が担当。青友会の10人が出演し、約1時間半の人情味溢れる時代劇が披露される。
出演者は2月から週2回、長野会館で稽古を重ねている。「一番の苦労はセリフを覚えることで、大半の人が仕事場に持っていき、昼休みなどに夢中で暗記しています」と尾崎会長は話す。また、青友会OBや地元住民が差し入れや稽古指導を行うなど地域全体で村芝居をバックアップ。GW以後は練習を週3回に増やし本番に向けて備えていく。尾崎会長は「古くから伝わる伝統として、世代間を超えて皆が楽しみにしていますし、芝居をやることで会員間の結束も強くなっています。面白い芝居になると思うので、多くの方に見て頂きたい」と話した。
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