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Jリーガー・安彦考真選手(南区在住) 不惑のオールドルーキー 夢舞台に 「始めるのに遅いことなんてない」

スポーツ

公開:2019年4月11日

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笑顔で取材に応えた安彦選手=YS横浜のクラブハウス前で
笑顔で取材に応えた安彦選手=YS横浜のクラブハウス前で

 南区新磯野在住で、サッカーJ3リーグのY.S.C.C.横浜に所属するFW安彦(あびこ)考真(たかまさ)選手(41)。このほどJリーグ史上最年長デビューを果たした安彦選手は、40歳で初めてJリーガーとなった異色の経歴の持ち主。40歳でプロをめざした契機、そして今後の展望を聞いた。

 J3リーグの開幕節・YS横浜対鳥取。チームがリードを許す中、後半37分、歓声に迎えられ41歳のベテランがフィールドに立った。同時に、「サッカーの神様」とうたわれた元鹿島のMFジーコが持つ史上最年長デビュー記録を26年ぶりに更新した。チームは敗れたが、仲間を鼓舞し、若い選手に負けじと走り回る姿は確かにファンの記憶に刻まれた。

繋ぎ止めたサッカー愛

 小学1年の頃に地元の「相武台FCニューグリーン」に入部。相武台中学時代は県大会出場を果たすなど実績を残した。卒業後は新磯高校(現相模原青陵高校)に進学。サッカー部に入部するも、いわゆる不良と呼ばれる生徒も多く、まわりの部員は金髪リーゼント。部員同士の衝突は日常茶飯事で、道を踏み外しそうな時もあった。高校時代を振り返り安彦選手は、「一生懸命なやつもどんどん辞めていって。自分も未来がないかなと思ったけど、サッカーへの情熱だけは消えなかった」。

 ブラジルから日本に凱旋した経歴を持つ「キング・カズ」こと三浦知良(横浜FC)に憧れ、高校卒業後はブラジルに単身留学。現地でプロ契約を結んだが、開幕直前で右膝前十字靭帯を痛め夢半ばで帰国を余儀なくされた。

 帰国後はスクールで選手兼コーチ兼通訳として活動。25歳で現役を引退すると、相模原の社会人チームや麻布大学附属高校のコーチ、川崎フロンターレの小林悠選手のマネジメントなどを務めた。

「失われた時を取り戻しに」

 選手を引退し約10年、自分の中で目を背けてきた事実。それは「選手としてプレーしたい」という思い。引退時は「サッカーが嫌いになった」と無理に自分に言い聞かせていた。「思い返すと自分自身に嘘をついていた。失われた10年を取り戻したいなと」。その日のうちに仕事を辞め現役復帰を決断すると、もう一度プロ選手の夢を追うことを決意。まわりからは懐疑的な声も聞かれたが、もう迷う理由はなかった。

 クラウドファンディングで活動資金を集めつつ自主トレを行う日々を経て、昨年8月、水戸ホーリーホックと念願のプロ契約を果たした安彦選手。チームメイトへのあいさつの際には号泣したといい、「想像もしていなかったけど、とにかくホっとした。親も泣いて喜んでくれた」。水戸との契約は月1円で、年俸「10円」。だが好きなことを続けられる喜びが何より大きかった。水戸ではプロデビューを飾れず、契約満了後、今年1月にYS横浜に加入。年俸は異例の10倍となる「120円」になった。

自分の世界観を表現

 相模原は「やっぱり一番落ち着く場所」。YS横浜の選手として、思い出深い相模原ギオンスタジアムへの凱旋を夢見る。学生時代にやんちゃした「悪友」とは今でも連絡を取ることも。練習や試合観戦に訪れるなど、不惑を超えた挑戦を応援してくれる「良き仲間」だ。

 「僕が尊敬する人はみんな世界観を持っている。自分はサッカーで世界観を表現したい」。自身のスタイルをこう形容する安彦選手。40歳でプロになったこれまでの「生き様」や「人間力」を泥臭くフィールドで発揮してこそ、自身の存在価値が生まれると断言する。当面の目標は「スタメン出場」。必要とされる限りはプロ選手を続ける構えだ。「何事にも始めるのが遅いことはない。迷っているなら行動した方が早い。それを自分なりにサッカーで体現できたら」

鳥取との開幕戦で途中出場を果たした安彦選手=3月10日、ニッパツ三ツ沢球技場
鳥取との開幕戦で途中出場を果たした安彦選手=3月10日、ニッパツ三ツ沢球技場

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