テレビ朝日で放送中の「魔進戦隊キラメイジャー」に、そのメインキャストとして出演する水石亜飛夢さん(24)。話題の映画やドラマにも出演。今後活躍が期待される若手俳優の一人だ。
「亜飛夢」は兄が名付けた本名。16歳離れた兄が「亜細亜(あじあ)を飛び回る夢になってほしい」と思いを込めた。小学生の頃は人見知りで大人しく、体を動かすことが苦手で不得意科目は体育。反対に絵や工作などひとり黙々と作業することが好きで、図工が好きだった。「授業中も手を上げることができない子どもだった。今俳優をやっていることが信じられないくらいです」と笑う。
それでも引っ込み思案な幼少期の頃からテレビの中でみる「ヒーロー」に憧れていた。休み時間に友人とヒーローごっこで遊んだ。当時の将来の夢は「警察官」。「幼いながらに誰かを守れる強さに憧れていました」
15歳の頃、相模原でスカウトされ芸能界へ飛び込んだ。すぐにモデルとして活躍するが、16歳でミュージカル「テニスの王子様」で役者デビューを果たしたことが転機となった。役を通して、エンターテイナーとして、誰かの力になれたり、背中を押せたりする。そんな俳優業の魅力に取りつかれた。以来、映画や舞台に積極的に出演。2015年には「ハムレット」で座長を務め、同年4月には「星の王子様」でもメインキャストとして見事に演じきった。翌16年には一人芝居「二十歳の暗殺者」にも挑戦するなど、あくなき努力で着実に俳優としてのキャリアを積んでいる。
憧れの「ヒーロー」に
そして今年、テレビ朝日で放映する魔進戦隊キラメイジャーのメインキャストに抜擢。幼いころから憧れを抱いていたヒーローに。うれしさと重圧を抱えながら、連日行われる撮影に全身全霊で臨む。
役どころは冷静沈着な「キラメイブルー」こと「押切時雨(おしきりしぐる)」。自身と同じく、俳優という職業につく役を演じるにあたり、本来の自分とのギャップに違和感を抱くこともあった。「時雨は売れっ子俳優で、クールな役どころ。自分とあまり似ていないため、どうやって演じるか悩んだ。役のイメージを壊したくなかった」。しかし回を重ねるごとに、実は人見知りな部分があるなど性格面で役と自身との共通点も感じるように。今では自分の素を生かし、自然体で演じる。「時雨は売れっ子俳優。自分も追いつけ追い越せという気持ちでやっています」と笑う。
「子どもたちのために」
現在は撮影が再開されているが、4月から5月にかけて新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、同番組の撮影も一時中断。世の中にも自粛ムードが広がった。
6月から市内でも休校措置が解かれ、登校を始めた子どもたちへも思いを寄せる。「マスクの着用、友人とも距離を取って接しなければいけない状況。我慢を強いられ、これまでと変わらなくてはいけないことに不安やストレスを感じると思う」と気を揉む。そんな中、「子どもたちのためにできることを」と考えたのが自身のインスタグラムでの生放送。「青のお兄さん」と銘打って、休校中は連日子どもたちへ向け放送を行った。
番組の進行や企画も自ら行い、家から出られない子どもたちのために一緒に全力で歌ったり踊ったりしながら元気づけてきた。特に気を付けたのは、「役柄と本人がごっちゃにならないこと」。夢を壊さないように気を配った。「思い付きと勢いで始めたことでしたが、実際に見ている人から声が届き、感動した」と振り返る。子どもたちを元気づけるとともに、役に立てているという実感に満たされた。「僕自身もヒーローになれたのかも」。現在でも不定期で生放送を続けている。今までと違う生活を強いられる子どもたちには、「これまでと変わったことをしなくてはいけないことは、とても大変だと思います。でも皆が気を付けることで、誰かを守ることができる。新しく楽しめることを見つけながら、一緒に頑張っていきましょう」とエールを送る。
相模原から世界へ
多忙な日々を過ごすが、休日には相模原へ帰ることもしばしば。帰った日は、境川をジョギングする。「真っすぐな川沿いは走りやすく、気持ちいいんです」と目を細める。
思い出の場所は淵野辺公園と博物館。どちらも幼いころ、家族で遊びに行った記憶が残る。公園では父とバドミントン、冬はスケートで遊んだ。博物館のプラネタリウムも家族で何度も見に行った。「相模原は人が優しく、空気が柔らかくて落ち着く。今でも大切な場所」
相模原で羽を休めたあとは、仕事に一層熱を入れて取り組む。めざすのは人気俳優の登竜門といわれる「新人俳優賞」。日々演技に磨きをかけ幅を広げることで、兄が名前へ込めた思い通りに、一歩ずつ着実に世界へ向け歩を進めている。
最近では、出演作のキラメイジャーに憧れた子どもたちから「キラメイジャーになりたい」とのメッセージが届く。その思いには「心がきらめいていれば、誰でもキラメイジャーになれる。日々きらめきを忘れず笑顔でいてほしい」と呼びかける。自身も笑顔を絶やさず、これからも子どもたちのヒーローとして輝き続ける。
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