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移住し駆けた10年 今後も全力

社会

公開:2021年3月11日

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仮設住宅時代から世話になった住民らと一緒に干し柿を作る中村さん(中)=キャッセン大船渡
仮設住宅時代から世話になった住民らと一緒に干し柿を作る中村さん(中)=キャッセン大船渡

キャッセン大船渡エリアマネジメントディレクター中村 純代さん

 今年で創設4年を迎える、大船渡駅前の商業施設「キャッセン大船渡」。震災で被災した地区を大船渡市が津波復興拠点地区として整備したもので、キャッセン大船渡では施設の30店舗のうち約6割が被災事業者。それぞれのテナントが独自で店舗を経営するが、全体で施設を盛り上げようと、日々知恵を出し合い、年間100回以上のイベントや企画を行っている。そのキャッセンの施設運営のほか、駅周辺地区全体のエリアマネジメントディレクターとして、大船渡市での中心市街地の再生と商店街の活性化事業を担当。店舗の多様な声に耳を傾け、施設管理のほか、イベント企画運営も担当する、いわば施設の「盛り上げ役」だ。現在は岩手県で多忙の日々を送るが、実は九州生まれの山陰育ち。無縁だった岩手との出会いは震災ボランティアが始まりだった。

 震災時はイギリスへの留学準備中だった。ビザ変更のため一時帰国した際に、東北を訪れ、沿岸部を襲った津波の被害状況を目の当たりにし衝撃を受けた。「何もできないと思うけど、行こう」と思い立ち、個人ボランティアの受け入れをしていた遠野を拠点としていた団体へ。当初はがれきの撤去などの支援に努めていたが、仮設住宅ができ、コミュニティづくりの手伝いとして初めて大船渡を訪問、そこでの出会いが全てを変えた。

 大船渡市猪川町。仮設住宅が立ち並ぶ地域で、皆でベンチづくりに精を出していた時、住民が震災当時のことはもとより、家族の話題や、これからの夢など様々な話を聞かせてくれた。「あの人たちにまた会いたい」「何か一緒にできることがあるかもしれない」と訪れる回数が増え、いつしか大船渡専属に。そこで大船渡に住まいを探したところ見つからず、支援団体の事務所を転々とした日もあった。やがて留学資金が底をつき、大船渡を離れることを考えていたとき、キャッセン大船渡のスタッフとして声がかかった。単身で住み続けられるかどうか悩んだが、これまで知り合った大船渡の人たちと新たなまちを一緒につくっていくことを最終的に選んだ。それは、大船渡へ身を置くことへの決意の表れでもあった。

あふれる「大船渡愛」

 「大船渡愛」を語りだすと止まらない。「海も山も、豊かな食の幸もあって、ご飯もお酒も、空気さえ美味しい。ゆったりとした時間が流れ、人も魅力的。みなさんにはただただお世話になってばかり」と「郷土」自慢と地域住民への感謝の言葉は尽きない。縁のない地にありながら、さまざまな手を差し伸べてもらい、寂しくなる暇がない、と人々の温かさが胸に染みる毎日だ。そうした中で、震災からの10年は、移住して地域の人々に支えられた10年であり、全力で、全速力で駆け抜けた10年でもあった。

 震災当時、「自分に何ができるか、何が意味のあることなのかさえわからず、何もかもが手探りだった」と回想。この4年間はキャッセンとともに「100年後の大船渡人に引き継ぐまちづくり」を念頭に、地域住民と来街者を巻き込んだまちづくりに全力を注いできた。この10年でインフラ整備も進み、まちの形は整いつつあるが、いつもは明るかった人が突然落ち込んだり、涙を流したりすることもあるなど、心の復興は皆それぞれで、まだまだ時間のかかることもあると感じている。

行動力の大切さ実感

 一方で、この10年で思いを行動に移すことの大切さを実感した。津波で多くを失っても、前向きに自らの生活の場、仕事の場の再建に取り組んできた大船渡の人々の強さ、たくましさはそのままこれからのまちづくりにもつながっていくと信じている。

 キャッセンではこれから先の10年に向け、高校生や小学生らのまちづくりの担い手も育ちつつある。「自分たちで企画を立ち上げ、実現する。本当に頼もしい」と目を細める。「まちづくりは誰にとっても自分事」と、まちづくりに多くの人がかかわることで、より魅力的な地域が実現できると信じる。キャッセンでの仕事が、それらの活動の支えになるよう、これからも歩みは止めないつもりだ。「それが恩返し。それができるのならここにいてもいいのかな」

 10年後、さらに100年後を見据え、人々、そして、まちと全力で向き合う。すべては大好きな第2の故郷、大船渡のために。

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