「買った時にはほんの小さな赤い金魚だったのに」。小林文子さん(78)=田名=の自宅には、全長約30cmの大きな白い金魚が住んでいる。金魚の名前は「まー坊」。2020年に亡くなった夫の名前「正信」から付けたものだ。
金魚との出会いは16年前。相模川の名物行事だった「泳げ鯉のぼり相模川」の縁日で正信さんが購入した。結婚した当初から動物好きだったという正信さん。インコ40匹やハト、ひよこ、蛇など多彩な動物を飼っていたこともあり「子育てがひと段落して飼い始めた金魚を、子どものようにかわいがっていた」という。月に一度水槽のポンプを掃除し、汚れた水を取り変える。季節によってはお湯で水温を調整しながら大切に育てていた。世話の甲斐あってか金魚は長生きし、元々真っ赤だった体は大きくなるにつれて段々色素が抜け白くなっていった。
正信さんが病に倒れた時、「てっきり金魚の方が先に寿命を迎えると思っていた」と振り返る文子さん。その思いとは裏腹に、正信さんは文子さんと金魚に見守られながら自宅でそっと息を引き取った。それまで金魚の世話に手を出したことが無かったという文子さん。正信さんの姿を思い出しながら見よう見まねで水槽を掃除し、毎日餌をやるようになった。すると「愛着が湧いてきて、ここまで来たら長く生きて欲しい」と目を細める。正信さんは金魚に名前を付けていなかったが、「お父さんの忘れ形見のように思えて」と、「まー坊」と名付け、毎日呼びかけるように。「これからも大事に育てていきたい。まー坊、長生きしようね」。正信さんの遺志を継ぎ、大きな金魚に目いっぱいの愛情を注ぎ続けていく。
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長い尾ひれを含めると全長約30cmに及ぶ金魚
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