相模原市美術協会の会長を務める 吉田 留美さん 横山台在住 73歳
やるならトコトン
○…今年で節目の80回目となる一般公募展「さがみ美術展」の開催に向け、会長として音頭を取る。前年踏襲の運営ではなく新しいことに積極的に取り組む。今年から中学生も作品を出品できるようにし、初の「ジュニア賞」を設けた。「会員が高齢で少しずつやめていく。魅力ある美術展にして若い人を育てていかなきゃ」。熱を込めた言葉に決意をにじませる。
○…自身がさがみ美術展への出品を通して実力を伸ばした。プロの画家ではなく、西門でブティックを営む経営者だった。絵を描き始めたのは子育てがひと段落した頃。ほとんど独学だったため、美術展で受ける講評が助けになった。2023年には「日展」に初応募。入選を果たした。「協会に恩返ししなきゃと常々思っている。会長を打診されたときはすぐ引き受けた」
○…「仕事や人生のストレスと違って、絵を描くストレスはいいストレス。楽しい」。イメージ通りの色がなかなか出ないときもあるが、「自分で悩んでやるのが面白い」。ブティック経営時代に日々多くの洋服を見る中で養った、繊細な色彩感覚が今に生きている。絵と同じ時期に始めたもう一つの趣味がウォーキング。毎朝6時から1時間ほど歩く。「やり出したらずっと続ける。好きなことだけはやめない」
○…退職前は仕事が忙しく協会の手伝いを満足にできなかったが、会員はいつも優しく迎え入れてくれた。仕事と絵の両立ができたのは協会の支えがあったからだった。「苦しくて絵を辞めてしまう人もいる。働き盛りの人がいたら積極的に声掛けをして助けたい」。80年にわたって相模原の文化の芽を育んできた先人たちの思いを引き継ぎ、協会をさらに発展させようと奮闘している。
|
|
|
|
|
|