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さがみはら中央区 トップニュース教育

公開日:2025.09.04

市立児童クラブ
約20年ぶりの値上げへ
物価・人件費上昇により

 相模原市が8月25日、市立児童クラブの育成料を月当たり700円引き上げ6000円にする条例改正案を市議会に提出した。育成料は20年近く据え置かれてきたが、物価や人件費の上昇を受け、安定的な運営を目指して値上げするに至った。条例は可決されれば来年度から施行される。

 市立児童クラブは小学1年生から3年生までのうち、保護者が就労などで日中家庭にいない児童を放課後などに預かり、遊びや生活の場を提供する施設。相模原市内には67ある。

 市は2000年に育成料月額3000円を導入後、段階的に引き上げを行い06年に現在の月5300円に改定。それから現在に至るまで20年近く維持してきた。

 一方、児童クラブの運営費は物価高騰や人件費の上昇に圧迫されている。神奈川県の最低賃金は06年に717円だったが、24年には約1・6倍の1162円に。市は安定的に運営するため、育成料の値上げに動いた。

 また、国は児童クラブ運営費の2分の1相当を利用者負担とすることを基準として示しているが、相模原市の利用者負担は23年度決算額で35%程度。市は子育て世代の負担に配慮して40%までの引き上げを目指した700円の値上げを決めた。

市民の声

 育成料の値上げについて、市内の公立児童クラブで働いている支援員は「もう少し上げてもいい。育成料が安いというのもあるのか、『(児童クラブへの入会を)とりあえず申し込んでおこう』という人がいて、本当に必要な人が入れなかったりする。安いのは保護者からしたら助かるけど、収入がある人からしたらもう安すぎるかと思う」と話す。

 一方、現在児童クラブを利用しているという保護者は「あくまでも保護者目線から、この物価高騰社会は承知で」とした上で、「もし値上げするのであれば、それなりの受け入れ体制に改善していただきたい」と、児童クラブの体制改善を訴える。受け入れ学年を現在の3年生までから6年生までに拡大することや、兄弟姉妹割、所得制限の導入などを挙げていた。

 また、市立児童クラブを利用していないが市内で子育て中の保護者からは「さまざまな物の値段が上がり、それに合わせて給料が上がっていない」などと値上げを懸念する声が上がっている。

他自治体では

 児童クラブの運営形態や費用は自治体によって異なる。県内では大和市で物価高騰などの影響を受けた育成料値上げの動きが起こっている。大和市は6月、現行の6300円を来年度から1・6倍の10200円にする方針についてパブリックコメントを実施。反対意見が多く寄せられ、段階的な引き上げへと見直すことになった。

 政令市の横浜市では公設民営で「放課後キッズクラブ」を運営している。利用料は、午後7時まで利用できる区分で月額5000円。担当者に物価高騰への対応を聞くと、今すぐの値上げについて具体的な話は出ていないという。

待機児童も課題

 児童クラブを巡っては育成料の他にもさまざまな課題が議論されている。その一つが共働き家庭の増加などを背景とする待機児童の急増。市によると、25年の待機児童数は21年の87人から1・8倍の157人(いずれも5月1日時点)。市は場所の確保や受け入れ年齢の拡大を目指す方針を掲げて8月末までパブリックコメントを行った。

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