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さがみはら中央区 社会

公開日:2025.10.02

地域で育む、子どもたちの未来
相模原JCが考える「居場所」

  • 大学生が講師を務めた「ミニ製本制作」開催時の様子=8月30日

  • 相模原JCの八木理事長(右)と河合委員長

 子どもたちの心の拠り所となる居場所を、地域の大人の力で――。相模原青年会議所(JC/八木貴弘理事長)は今年度、学校や家庭・公的な施設以外に子どもが安心して過ごせる場所を作ろうと、上溝公民館で月に一度「みんなのホットステーション」を開催してきた。毎年多様なまちづくり運動を展開する青年たちが、地域の現状を踏まえて模索する新たな居場所づくり。八木理事長と、事業を担当する河合優輝委員長に話を聞いた。

 「児童虐待などの認知件数が増え続ける中、児童養護施設などの社会的養護の場所には限りがある」。八木理事長は、「若者が未来に不安を持つことなく、自信と勇気を持って挑戦できるよう、学校や家庭以外の、多様な価値観に触れられる居場所を地域の大人の力で創る必要がある」と事業実施の背景を語る。

成長とふれあいの場

 相模原JCが手掛ける「みんなのホットステーション」は、上溝公民館を拠点に月に一度、ゲーム大会やプログラミング、絵画・工作の教室といったイベントを実施するというもの。今年3月から7回にわたって行い、近隣の小学生を中心に、毎回20人ほどが集まったという。

 「成果を発表することで自信をつけられたり、初めは保護者と来ていた子も次第に一人で楽しめていたりと、参加した子どもたちに自立心の成長が見られた。学校や学年が違う子ども同士が自然に交流し、いろいろな大人と触れ合う場として、コミュニケーション能力を育む機会にもなったと思う」と河合委員長。保護者からは「安心して子どもを任せられる」といった声も寄せられているという。

既存資源とつながり活用

 学校や家庭、公共施設以外の「子どもの居場所」には、NPOや市民団体による子ども食堂や学習支援などがあるが、活動場所の確保や資金面、学校や行政との連携などに課題があるとされている。

 「みんなのホットステーション」は、活動場所として公民館を使用。JCのネットワークを生かして子どもの興味関心に合わせた多彩なコンテンツを提供し、運営には公民館の青年部や市内の学生たちも協力した。資機材面では学校に配備するためのタブレット端末で現在使われていないものを市から借り受けて使うなど、既存の資源を最大限に活用した。

 河合委員長は「資機材の調達と人材確保、子ども向けのコンテンツ作りが重要だと思う。公民館は、もっと子どもたちに使ってもらいたくても子ども向けの事業を実施できていない状況だった。まずはモデルケースとして、やり方次第で子どもがこれだけ集まり、楽しんでくれるということを地域の大人たちに実感してもらえたのが大きな成果」と手応えを語る。

 一方で、教職課程を履修する学生など、子どもと関わる意欲を持つ若者にとっても地域と関わる実践的な学びの場となったという。八木理事長は「相模原には大学がたくさんある一方、卒業したら出て行ってしまう若者も多い。学生の間に地域と関わることで、相模原の魅力を知り、地域のために活動する大人の姿を見てほしい」とその意義を語る。

地域で見守る意識を

 河合委員長は「将来的には自治会などより多くの住民が関わり、地域全体で子どもたちを見守る体制を築くことが理想」と話す。「単発的な集まりに終わらせず、子どもたちにとって『そこに行けば誰か知り合いがいる』という自然で日常的な居場所を市内の各地域に増やしていけたら」

 共働き家庭の増加や定年の延長によって地域活動の担い手が不足し、つながりが希薄化している昨今。子どもたちの心の拠り所としてだけでなく、学生や大人にとっても新たな役割を見出す場として、「みんなのホットステーション」の今後の展開が期待される。

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