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さがみはら中央区 人物風土記

公開日:2025.12.18

臨済宗建長寺派「南光寺」の28代目住職に就任した
藤井 宗和さん
田名在住 47歳

等身大で伝統つなぐ

 ○…1335年に建立され、690年の歴史を持つ田名の「南光寺」。10月に行われた新住職を迎え入れる催事「晋山式」で28代目の住職に就いた。「足元の悪い中、多くの人が来てくれた。皆様の支えによって我々がいる」。地域に応える責任を強く意識した。

 ○…母方の祖父と叔父がそれぞれ26、27代目住職。幼い頃から寺は身近だったものの、自身は南区新磯で生まれ横山で育った。大学では工学部へ進学。卒業後は就職氷河期の影響でフリーターとして過ごしていたが、同寺に叔父の後継者がいないことを知る。「身内に後継ぎがいないと家族ごと寺を出なければならない」と聞き、「軽い気持ち」で入寺を決意。「おじいちゃん・おばあちゃん子だったから」。飾らない人柄を見せる。

 ○…鎌倉の建長寺で4年半ほど修行を積んだ。早朝から厳しい日課が続く道場生活に、「入った初日に後悔した」と苦笑する。中でも釈迦が悟りを開いたとされる12月8日の「臘八(ろうはつ)」前は座禅が集中し、屋外での「夜座」や、座ったまま眠る「座睡」など過酷な修行が続いた。「鎌倉の山だから冬は寒く、何度も帰りたいと思った」。それでも、家族や檀家らに盛大に送り出されたことを思い返し修行に励んだ。

 ○…昨今の「寺離れ」に課題意識を抱き、幼い頃に境内で遊んだように「人が集まる場所」をつくりたいと考えている。「子どもの頃、寺に行くと檀家さんたちに可愛がってもらえた。そうした地域をつなぐ役割を今度は自分が担っていけたら」。一方で、自身の3歳の息子には「継ぐも継がないも自由にしてくれたら」と笑う。当時の「軽い気持ち」を振り返りながらも、「今では寺を継いでよかったと心から思える」。穏やかな表情を見せた。

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