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公開日:2026.01.01
72万の人生 支えるまちで
本村市長 新春インタビュー
年頭にあたりタウンニュースは、本村賢太郎相模原市長にインタビューを行った。リニア中央新幹線やこども医療費助成、スタジアム構想など、2025年に注目を集めたテーマを軸に、市政の現状と今後の展望を聞いた。本村市長は「72万人の市民の人生を支えるまちでありたい」と語る(2025年12月9日取材)。
リニア遅れ「プラスに」
―リニア中央新幹線について伺います。東京―名古屋間の2027年開業については、少なくともその時期での開業は実質的に断念されたとの報道もあります。仮に遅れが長期化した場合、駅周辺開発などへの影響も考えられますが、どのように見ていますか。
「現時点では、開業は2035年以降になるのではないかという認識を持っています。当初は2027年とされており、それに合わせて道路やインフラ整備を進めてきました。開業が遅れれば、期待が大きい分、『がっかり感』を抱く市民の方もいらっしゃるかもしれません。ただ、その一方で、期間が延びたことを前向きに捉えれば、『準備の時間が増えた』とも言えます。この間、さまざまな催しを重ねながら、市民の皆さんの理解がより深まるような取り組みを進めてきました。そうした意味では、この期間を『理解を得る時間』として、プラスに捉えていきたいと考えています」
「また、京王電鉄との連携も進んでいます。京王橋本駅の移設について同社の中期経営計画に示されました。市としては、駅周辺にバンケットルームを備えたホテルなどの誘致も視野に入れています。ただし、現段階では、あくまで『こうしたい』という考えをお伝えしている段階で、実現には一定のハードルがあります。だからこそ、京王電鉄にとっても『魅力的だ』と感じてもらえるようなまちづくりの姿を、市としてしっかり示していくことが重要だと考えています」
無償化「声に応えた」
―相模原市は2027年4月から、こども医療費助成の所得制限を撤廃し、18歳まで無償化する方針を示しました。「子育てするなら相模原」を掲げる上で象徴的な施策だと思いますが、自治体間競争の側面もあります。
「今回の見直しは、市民の皆さんからの声が非常に大きかったことが出発点です。相模原市は令和6年(2024年)8月、小児医療費助成を高校生まで拡充しましたが、首都圏の政令市で初めて『一部自己負担・所得制限あり』という形でのスタートでした。当初は先行した形でしたが、その後、他自治体が相次いで追いつき、追い越していきました」
「東京都では18歳まで所得制限なしで無償化している自治体も多く、町田市は都の財源も活用しながら18歳まで拡充しています。そうした動きを受け、最近は神奈川県内でも、相模原だけが取り残されているように見える状況になっていました。議会からの要望も強く、市民の方からも多くの声をいただきました」
「一方で最大の課題は財源です。中学生までの助成で年間約22億円、高校生まで広げて約26億円。今回の拡充でさらに約2億円余りの財源が必要になります。決して簡単な判断ではありませんでしたが、財政当局と協議し、安定的に確保できる見通しが立ったことから、『ここはチャレンジしよう』と決断しました」
「本来、こうした子育て施策は国が全国一律で行うべきだと考えています。住む地域によって支援の差が生まれる今の状況は、やはりいびつです。家庭環境に左右されることなく、どの子どもも学び、夢に向かって挑戦できる社会を、国としてしっかり支えてほしいと思っています」
スタジアム「負担大きい」
―スタジアム構想について伺います。「市民の期待は大きかったものの、結果として白紙となった」という経緯がありました。民設民営を条件とする中で、市として譲れなかった点があったと聞いています。
「この点については、これまでも申し上げてきた通りです。仮に(ホームタウンチームが)年間40試合程度のホームゲームが行われたとしても、その運営だけで採算が取れるかといえば、正直難しい。市は営利企業ではありませんから、必ずしも利益を出す必要はありませんが、それでも市の負担が過度に大きくなることは避けなければなりません」
「また、2021年にホームタウン4チームで実施された署名では、10万筆を超える賛同が集まりましたが、市内在住の方は3万人強で、4万人には届かなかったと記憶しています。スタジアムを求める声は確かにありましたが、『欲しい』『支えたい』という市民の熱量、いわば熟度が、もう一段高まる必要があるとも感じていました」
「そうした中で、市としてお願いしていた『完全な民設民営』という条件と、SC相模原側の考えが折り合わなかったのが実情です。一方で、クラブが海老名を選んだ判断については、理解できる部分もあります。現状の相模原は昼間人口がまだ十分とは言えず、採算性を考えれば厳しい判断になることも分かります」
「ただ、15、20年後を見据えれば、相模原や橋本は、海老名や立川、町田に引けを取らない街に必ず成長しなければならない。その覚悟を持っています。その上で、ホームタウンチームであるSC相模原を、これからも変わらず応援していく姿勢に変わりはありません」
高齢者移動手段に注力
―2026年について伺います。特に力を入れていきたい施策は何でしょうか。
「高齢化が進む中で、最も大きなテーマの一つが『移動手段』だと考えています。グリーンスローモビリティの導入や、乗合タクシーの実証運行エリア拡大などを検討しています。今後は路線バスの再編も進み、公共交通の見直しが続きます。高齢者の免許返納が増える中で、どうやって日常の移動を確保していくのか。ここは避けて通れない課題で、真剣に取り組んでいかなければなりません」
「一方で、内部の課題として、最近は職員の離職が増えていることも気になっています。相模原市を選んで入ってきてくれた職員が、長く元気に、自分らしく働き続けられる環境を整えることは、政策を前に進める上でも非常に重要です。来年度は、人材育成や離職防止を担う新たな部署やポストの設置を検討しています」
「職員組合とも対話を重ねながら、『どこに負担が集中しているのか』『何が足りていないのか』を丁寧に見極め、マンパワーの確保につなげていきたい。DXやAIが進んでも、最後に行政を支えるのは人です。信用や信頼は、人と人との関係の中で築かれるもの。そうした意味でも、人材育成と職員のケアは、2026年に向けた大きなテーマだと考えています」
相模原ワンチームで
―最後に、市民の皆さんへメッセージをお願いします。
「これからも『誰一人取り残さない社会』を目指していきます。72万人の市民には、72万通りの人生があります。その多様な生き方を尊重し、特定の価値観を押しつけるのではなく、さまざまな考えの人が『ワンチーム』として共に生きていける社会をつくることが、相模原の未来だと思っています」
「私は子どもたちに『ずっと相模原に住んでほしい』『大人になっても戻ってきてほしい』と話しています。相模原には、まだまだ大きな可能性があります。これからも市民の皆さんと力を合わせ、ワクワクする未来を築いていきたいと考えています」
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