下九沢にあるごみ処理場「相模原市北清掃工場」の老朽化を原因とした約3年半に渡る段階的な改良工事が先月末に完了した。処理設備の交換や発電機の改良により、省エネ化・発電能力が向上。工事前と、発電に関する主要工事が完了していた2019年度で比較し売電収入が約3300万円アップするなど効果が現れている。
同工場は1991年竣工。約2万3000平方メートルの敷地面積に、焼却炉が3炉、6階建ての工場棟や管理棟、粗大ごみ処理施設がある。1日あたりの処理能力は450t(1炉150t)。処理の際に発生する熱エネルギーで発電を行い工場内で利用したり、発生する蒸気を隣接する北市民健康文化センター(LCA国際小学校北の丘センター)の温水プールなどに活用している。市内にはもうひとつ、南区に2010年に建てられたごみ処理場「南清掃工場」(処理能力525t/3炉)もあり、市の衛生環境の維持を支える大切な役割を担っている。
環境省によると、ごみ焼却施設の耐用年数は一般的に20年程度だといわれる中、北清掃工場は約30年稼働してきた。このような老朽化対応のための大規模工事は初めてのことで、2017年9月から工事期間に入った。改良内容は、老朽化していたごみクレーンや受電設備、送風機、粗大ごみ処理にかかる破砕機の一部などを、より省エネのものに交換。蒸気タービン発電機の改良など、発電に関わる設備も更新した。さらに工事期間が長期となるため、市民生活に支障をきたさないようごみの一部を南清掃工場に輸送したり、3焼却炉を期間をずらし段階的に停止するなどして工事にあたった。
CO2 約23%削減
今回の改良工事により、同工場の15年の延命化が可能になった。担当の清掃施設課によると「大型焼却施設では日本トップクラスの稼働年数になる」という。また、工場内での省エネ化も実現。これに伴う消費電力量削減により、二酸化炭素の排出量を工事前と比べて約23%削減した。加えて発電能力が工事以前の2500kwから2625kwに5%増強。同工場では自家発電したもので施設内の電力を賄い隣接施設でも利用するほか、余剰分は民間電力会社に売却している。工事前は自家発電分のうち、約8割を施設内で使用、残り約2割を売電していた。これが、発電に関する主要工事が完了していた2019年度は約4割を売電できるようになり、市の財源となる収入も約3300万円アップしたという。
同課は今回の工事について、「変化は目に見えないかもしれないが、施設の延命化や省エネ化、発電能力の向上など効果が大きい。焼却設備への負荷を減らせばより長い稼働が望めるので、引き続き市民に皆様にはごみの減量化・分別の協力をお願いしたい」と話す。
15年後の同工場の建替えなどについては未定。同課によると、「人口予測やごみの処理量を鑑み検討する」としている。
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