町田 コラム
公開日:2025.07.03
町田天満宮 宮司 池田泉
宮司の徒然 其の155
トキワ
我々が神前で奏する祝詞にしばしば使われる言葉の中に「ときわ」がある。漢字では常盤や常磐と書き、「永遠に変わらず」や「永久に」という意味だ。草木の名にもトキワが使われているものがある。トキワマンサクやトキワイカリソウは、冬は落葉してしまうマンサクやイカリソウに対して、同属でありながら緑の葉を残したまま越冬するから常緑の意味でトキワが付く。そして写真は「トキワツユクサ」。南アメリカ原産の帰化植物で、園芸植物として昭和初期に訪日して野生化。繫殖力が強いため放置すると他の植物を圧倒してしまうため、生態系被害防止外来種に指定されている。ただし、ツユクサ同様に食べられるらしい。青い花弁を2枚付けるツユクサと違い、トキワツユクサは白い花弁を3枚付ける。葉や茎も常緑というより赤っぽく、冬はほとんど姿が見えない。人の手で連れて来られて捨てられて、繫殖力が強いというだけで要注意指定されて、トキワツユクサにしたらたまったものではない。ツユクサの仲間でメキシコからいらしたムラサキゴテンは園芸種として定着しているが、温暖化が進む中、容易に外で越冬できるようになり、もともと大きい種類だから増えすぎると厄介だ。でも君たちに全く罪はない。責任はやりたい放題の人間にある。人間は利益を求めて、あるいは興味本位であるいは趣味趣向で動植物を移動させてきた。後々大変なことになることなど考えることなく、地球の生態系をかき混ぜている。かき混ぜ続けている。さて、地球にトキワはあるのか。
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