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町田 コラム

公開日:2026.09.24

町田天満宮 宮司 池田泉 町田天満宮 宮司の徒然-ウツギ

  • 町田天満宮 宮司の徒然-ウツギ (写真1)

ウツギ

 鳥居脇のハコネウツギが咲いている。ウツギは茎が中空であることから「空木」とされているが、ウツギが付く草木はいくつかの科にまたがるのは、茎が中空の草木にウツギを冠したからだろう。中空でなくても、遠目に見た感じで名づけられたものもあるようだ。単にウツギというと、アジサイ科で花は白。梅雨前に降る五月の雨の季語「卯の花くたし」の卯の花はウツギのことで、白花をたくさんつけたウツギが、雨でうなだれている様子を表し、俳句でも初夏の季語として使われる。ハコネウツギの花は咲き始めが白で次第に赤くなるから、紅白の花が入り混じる。近年は観賞用として庭や公園にも植えられて季節を知らせている。

 ある年の五月、参拝にいらした年配の女性が「神社にあんな縁起の悪いものを植えてはいけない」とご意見をいただいた。私が直接言われたわけではないので、はじめは何のことだか分からなかったが、どうやらそのかたはスイカズラ科のタニウツギと間違われたらしい。確かに花の形は似ているが、タニウツギは紅白の花ではなく赤一色だ。山にびっしりと咲く様子が山火事を連想することから「火事花(カジバナ)」と呼ばれたり、茎を加工して火葬後の骨拾いをする箸にすることから「死人花(シビトバ

ナ)」の異名もあり、地方によってはお墓のそばに植えられたりする。おそらく生活圏で馴染みのあるウツギがタニウツギだったのではないだろうか。ちなみにハコネウツギは神奈川県の箱根に自生しておらず、全国の海岸沿いや山麓に自生する。たまたま箱根付近でたくさん見つけたから名づけられたのだろう。

 近年「トクリュウ」という特殊な犯罪形態が問題視されている。短時間で高い報酬を得られるということ自体が怪しいと判断できないのか、足がつかないよう巧みに組まれた犯罪組織の末端で、よく内容も理解しないままに家族構成まで調べ尽くされて脅迫され、気づいても引き下がれない状況で凶悪犯罪に手を染める実行犯は低年齢化していく。身体は立派でも道徳教育は空木、中身は空っぽだ。もっとも、骨拾いの材

料に利用されるタニウツギや、公園などで目を楽しませてくれるハコネウツギは立派に役立っているから大きな違いだ。そんな空っぽの若者を作ったのは、戦後教育からつながる我々の世代にも責任はあるのかもしれない。人間関係が希薄になるのを止められず、無意識のうちに迎合してきたのだから。

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