障害者に働く場を提供してきた、東町・生涯学習センター(クリエイトホール)内の喫茶クリエイトが20年目に入る。自立を後押しする障害者雇用の「前例」としての役割を果たしてきた。
「いらっしゃいませ」――。午前11時。お客さんを迎える大きな声と共に店は開店する。現在、19人の障害のあるスタッフと健常者で店を運営し、忙しさのピークはお昼。一番人気の日替わり定食を始めとした手頃価格のランチメニューを目的に近隣で働く会社員などが集まってくるのだ。
「個性にあった仕事をしてもらっています」と同店の米山国義所長。障害者スタッフは主に接客係を担当し、なかには厨房で皿洗いをする人も。
「皆様に温かい目で見守ってもらっています。常連のお客様も多いんですよ」。障害者スタッフの誠実な接客にファンとなり、リピートしてくれる利用客も少なくないのだという。
試行錯誤のスタート
1999年10月にオープン。以来、八王子市に住む障害者を中心に働く場を提供してきた。当初は、お客さんの前で何もしゃべることができなくなってしまうスタッフもいたため、開店前の朝礼で接客や声を出す訓練を重ねていたのだという。
「お客さんに来て頂いた分だけ給料があがるというのは一般企業と同じ。障害者スタッフの成長と共に店の売上は上がっていきました」と米山所長。
障害者スタッフの自立を見守りながら収益が出始めたのは5年目から。オープン時から調理師としてクリエイトをまとめてきた廣瀬百合子さんは、障害者だからと一線を引くのではなく、家族のように接することで、互いに理解し合えてきたことが、”チーム”としてお客さんを迎える体制づくりにつながった、と話す。
また、障害者スタッフの保護者による支援も大きかった、と力を込める。3カ月に一回程度、会合を開き、互いの悩みを共有し合ってきた。
「保護者の方々とは友だちのように接してきた。障害者スタッフ、その保護者の皆さんに、私たちが支えられてきたと思っています」
高齢化が課題
近年、課題となってきたのが、障害者スタッフの高齢化だ。ほとんどが10年以上勤務しており現在、56歳を最年長に30代後半から40代の人が大半を占める。
「足腰が弱まってしまうなど、障害者スタッフがこの場で働き続けることができなくなってしまった場合、どのように対応していけばいいのか」と、米山所長は困惑気味に話す。
八王子市の障害者福祉課の小池育英課長は「クリエイトさんは、障害のある方に働く場を提供し、知識や能力の向上のための場としての役割も果たしてきてくれた」とし、障害者が高齢のため、働いていた場所を離れなければいけなくなった場合は、市として、各人の能力や体調などに合わせて新しい働き場を探すなどの支援をしていきたいとしている。
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