浅川の河川敷グラウンドを拠点に活動するソフトボールチーム「八王子クラブ」が先月、66歳以上で構成されるチームが競い合う全国大会で準優勝に輝いた=上写真。背景には「第2の青春」に力を注ぐ還暦を超えた同クラブメンバーたちの姿がある。
「やるからには上目指す」
「しっかり捕れよ」「ナイスバッティング」――。清川町沿いの浅川・河川敷のグラウンドに毎週土日、高校球児を思わせる掛け声が飛び交う。その声の主は、60から79歳で構成される八王子クラブのメンバーたち。
1日4時間程度、ノックに専用マシンを使った打撃練習など、高校球児にも負けない練習メニューをこなし、「やるからには上を目指したいですからね。みんなよく動いているでしょ」と監督を務める河内晃さん(79)は笑顔をみせる。
定年後の生きがいづくりをひとつの目的として2004年に河内さんが立ち上げた同クラブ。ソフトボールや野球経験者だけでなく、全くの初心者も受け入れ活動してきた。
悔しい2位
先月、大分県で開催された、66歳以上のメンバーでつくられるチームが日本一を競う大会(全日本ハイシニア大会)では準優勝。社会人のソフトボールチームに在籍していた70歳のエースを中心とした堅守を「武器」に東京都大会から勝ち上がっての功績だった。
河内さんは「4年前に続き、2回目の準優勝。前はうれしかったけど、今回は悔しい気持ちの方が強いですね」と苦笑いをみせ、日本一になるには練習あるのみ、まだまだですよ、と尽きない向上心をみせる。
地域元気づけたい
「第2の青春」を楽しむメンバーたちにはもう1つ目指すことがある。還暦を過ぎた自分たちが一丸となってスポーツに取り組むことによって得たものなどを多くの人に周知し、同世代や地域を活気づけたい、という思いがあるのだという。
その一環として、実現こそしなかったものの、子どもたちに競技の面白さを伝える目的で、五輪出場経験のあるソフト選手の講演会を企画するなどしてきた河内さん。現在も引き続き周知する方法を模索しているところだという。
「還暦を過ぎて生きがいや新たな友人ができるとは思わなかった。これもこのチームがあったからこそ。そんなみんなが1つになれるものがあることを多くの方に知ってもらいたいんです」と力を込める河内さん。
それは、学生時代まで本格的な、ソフトや野球の経験がなく、就職後に会社の野球チームに入り、その面白さ、仲間と勝利を目指して協力し合えることのできる喜びを知った河内さんだからこそ、何歳からでも「できる」ということを伝えたいという思いに駆られるのだという。
「甲子園を目指せなかったという思いが今、上を目指してチャレンジしていきたいという思いにつながっているんだと思います。甲子園出場を目指している小学生の孫の応援にも力が入ってしまいます」
一方で、八王子市内のソフトボール人口が減り続けているなか、自分たちの活動がその歯止めのひとつになればという思いもある、そうだ。
「日本一になる夢も、市内の競技人口を増やす目的で有名選手を八王子へ呼ぶことも諦めていません。今でも夢を追い続けられることが一番の幸せかもしれませんね」
![]() 今は監督業に集中していると話す河内さん
|
八王子版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|