クラフトビールづくりを展開する高尾ビール(下恩方町1557)代表の池田周平さんらが5月1日、小冊子「ふもとの暮らし たかお」を創刊した。A5サイズ、カラー全12ページで定価300円。発行は500部。掲載内容は「高尾周辺」在住や「高尾に関わり」を持つライターらによる高尾の話題という超ローカルな「文芸誌」。池田さんは「生活するこの街のことをもっと知りたいと思い作りました。知ったことをもっと伝えていきたい」と話す。
2人でレーベル
発行は池田さんと高尾町在住のアートディレクター、福岡和政さんによるブックレーベル「タカオブックス」から。
池田さんは2017年、デザインの仕事を辞め、醸造所を立ち上げた。登山が好きで、海外で知った「山とその街にあるクラフトビール」が生み出す文化、コミュニティに憧れた。一方、「アルプ」など「山の文芸誌」を愛読していた。
福岡さんが醸造所へビールを購入に訪れたのがきっかけで、2人の交流は始まった。福岡さんも同様の雑誌に関心があり、親交を深める中で「そういうのを作りたいね」と意気投合。今年1月頃、レーベル創設を決め制作をスタートした。
読み物中心
「たかお」は情報誌ではなく、エッセイなどの読み物が中心の構成となっている。執筆者は「高尾」に関わりをもつ人で、アウトドアライターや山岳雑誌の編集経験者など豊富な実績を持つ顔ぶれも。一方、10歳の習字作品、89歳の鉛筆画も掲載されており、その年齢層の広さも特徴的だ。「ビールを配達する業務をしていて、地元の方々から色々な昔話など貴重なエピソードを聞くことがあります。それをアウトプットしておきたい(形にしたい)と思いました」。池田さんも編集部としてペンをとっている。
「真剣さ伝わる」
「2人の一生懸命さ、真剣さが伝わってくる」。執筆者の1人、岩崎博さん(八木町在住)は昨年春、イベントでビールを販売する池田さんに出会った。岩崎さんは10代の頃から登山に親しんでおり、かつて雑誌「岳人(がくじん)」の編集スタッフを務めていた実績がある。池田さんについては新聞記事などを通じて「山好き」と知っており、その後会う機会があると、岩崎さんが仲間と作った登山についての同人誌などを進呈していた。
2月頃、池田さんから原稿依頼のメールが届いた。「年齢は40歳くらい離れていますが、とても紳士的な方」と岩崎さんは池田さんについて話す。「高尾に関する絵と文」というリクエストに対し、ペン、アクリル、顔彩を使い「山笑う」と題した画文を作った。冊子の見開き部分で紹介されている。「これからも協力できたらいいね」
次回は秋
池田さんも福岡さんも高尾に住み始めたのは4、5年前という「移住者」だ。「住んでいるところのことを知りたい」――。冊子づくりは、そんなシンプルな動機から始まった。「小さな出会いを重ねて、みなさんから話を聞くうちに、ぼんやりとですがこの街の外輪がわかってきました。生活を続ける高尾のことをもっと伝えていきたいです」。発行は年2回で次号は秋を予定している。高尾ビールの醸造所などで購入可能。
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