きょう8月1日は国土交通省が定めた水の日――。水の貴重さを再認識する日とされているが、「市民に水辺の魅力について知ってもらいたい」と八王子市が活動している。工業廃水などによってイメージダウンした街の水辺を再び人々の集まる場所にしたい考えだという。
現在、八王子市が進めているのが、地下水が地表に自然と湧き出る水(湧水)を活用した取組み。
市内78カ所の湧水のうち、市街地周辺にある8カ所をピックアップしマップを作成。市民がそれぞれの地を巡り楽しめるようにしたり、年1回程度、湧水と親しむイベントを開くなどしている。
目指すのは、これら湧水や河川などの水辺を市民が気軽に立ち寄れる場所にすること。「水環境が整っている街にも関わらず、今は住民との距離があるようなので」と市の担当者はその理由を話す。
要因は高度成長期
その要因は1960年後半から始まった高度経済成長期にあるようだ。当時、市内にも数多くの工場が建てられ、市街地を流れる浅川などに工業廃水が流れ込むようになると、川が汚染され子どもたちが水辺に近づかないようになったのだ。それは下水道整備が進み、浅川の水質が基準を下回り、「綺麗な水」となった後も。
「市内の川は汚いというイメージが定着したままのようなんです。現在40、50代の方が子どもの頃、川などで遊ぶことを止められ、その世代が親となった今、自身の子どもたちにも水辺に近づかないようにと伝えていると考えられます」と市担当者。
「水辺は眺めているだけでも心穏やかになる場所。多くの生き物が住んでいるので子どもたちの学びの場にもなります」とし、一度、自宅近くの湧水を眺めてもらえればその魅力を知ってもらえると思います、と話している。
恵まれている?
そもそもなぜ、八王子は「水」に恵まれているのか――。市によると、市街地などは地表と地下水の「距離が近い」ようなのだ。
そのため、浅川などから派生した地下水が湧水となっていると。「周辺よりも少しだけ土地が低い子安神社(明神町)の社務所下に豊富な水が湧き出ていることがそれを物語っています」
また、大塚・帝京大学総合博物館で常設展示されている多摩地域の断面図を見ると、浅川や多摩ニュータウンエリアを流れる大栗川周辺は標高が低く、水が流れ込みやすいのが一目瞭然だ。
「水源を求め、川などの水辺に人が集まり街は形成されていくものです。一方で小平市などは標高が少し高いことなどから水を引けずに田んぼがつくりづらかったことから街として形成されるのが遅れたという話もあります」と同館の学芸員、甲田篤郎さんは話す。
「水源を探ることは地域を知ること。そのため、当館では帝京大学の新入生向けに水源を巡る講義を開いているんですよ」
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