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石井さん 空襲体験 きょう発刊 父伝言 「みんなに知らせて」

社会

掲載号:2019年8月15日号

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書き終えたばかりの原稿を前に話す石井さん
書き終えたばかりの原稿を前に話す石井さん

 市内在住の石井忠明さん(81)が戦争について自身の体験をもとに小説仕立てのドキュメンタリーを書き上げた。タイトルは「ポチとター坊と焼夷弾 八王子空襲体験記」。石井さんは疎開先から戻ったその夜に八王子空襲を体験した。終戦記念日のきょう、石井さんに振り返ってもらった。

「映像が浮かぶよう」

 石井さんはこれまでも郷土資料館や公共施設、小中学校で戦争体験の講演を行ってきた。今回の本は、10年ほど前に書き始めた。(株)清水工房(追分町)から出版する。

 石井さんは戦後、日本テレビで長年報道の仕事に携わっていた。清水工房で編集を担当した山崎領太郎さんは「書き方が脚本っぽい。その時の情景が映像として浮かぶよう」と評する。

帰宅した夜に

 「八王子もそろそろ危ないぞ」。そんな話が聞こえてきた6歳のとき、母親の実家がある藤野(現在の相模原市)に母と兄との3人で疎開した。石井さん(ター坊)は「自宅の小門町なら浅川でドジョウをとったり、近くの公園で遊んだりと楽しめたのに、疎開先はつまらなかった。ただ食事だけは豪勢だったね。卵も出た」と振り返る。「3日目にして兄と一緒に、母親に『帰りたい』とせがんだ」おかげで自宅に戻った。父親からは「なんで今更」と怒られた。「その夜は9時か10時くらいに一度空襲警報が出たけど解除された。そこでウトウトしていると日付が変わった頃に空襲が始まった」

10m先で

 外に出ると八王子駅の方角は真っ赤に燃え上がっていた。あわてて桑畑に逃げ込んだ。「機銃掃射もあって、10メートルくらいの距離に別の家族が身を伏せていて、母親が子どもを抱えて座ったまま亡くなった」。壮絶な夜を乗り越えたが、この時、愛犬ポチのことを忘れていた。「最初の警報のときはリヤカーに積んだのに。もっときちんと父親に『ポチは乗せだ?』と確認すればよかった…」。今でも後悔している。

父の言葉

 「戦後、父親から何度も『大きくなったら、みんなに知らせるように』と言われてきた。それが形にできる」と石井さん。

 書籍は8月15日発行予定。A5判420ページ。定価1200円(税別)。市内各書店でも販売される。また、市内の小中高、大学に寄贈される予定。

 

1945年の家族写真=石井さん提供。一番右手前が石井さん。左端の女性が抱えているのがポチ
1945年の家族写真=石井さん提供。一番右手前が石井さん。左端の女性が抱えているのがポチ

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