神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
八王子版 公開:2019年9月12日 エリアトップへ

銭湯 署名で存続決意 松の湯 長男継ぎ新しく

文化

公開:2019年9月12日

  • X
  • LINE
  • hatena
新装した番台に立つ宏和さんと小嶋さん(左)。お披露目会にて
新装した番台に立つ宏和さんと小嶋さん(左)。お披露目会にて

 一度は閉店を決めるも地域住民から「反対」の声があがり再開。そしてこのほど晴れて長男が跡を継ぎ、新装開店――。小門町の銭湯「松の湯」で5日にあったお披露目会ではたくさんの笑顔が溢れた。

2016年閉店告げる

 「もう高齢だから。70を過ぎてからずっと考えていたんです」。2016年10月、店主の小嶋誠さん(77)は、父親の代から60年以上続いた銭湯を閉めるつもりでいた。決して経営が行き詰まったわけでなく、浴場は連日賑わいがあった。ただ、建物の老朽化もあり、そう判断した。そして店頭に「今月末まで」の張り紙を掲出。すると予想をしない事態になった。

 「東海道新幹線が急に停まるくらいの驚きだったよ。冗談じゃない。ちょっと待って、と」。そう振り返るのは「年間280日は訪れる」という常連で近隣住民の井上博正さん。小嶋さんが用意したお別れのメッセージノートを、「存続を願う」署名用紙に差し替え。有志20人による署名活動が始まった。「大きなお風呂で体が温まる効能はもちろん、色々な人に会って話ができる大切な場所」と井上さんはコミュニティである銭湯の重要性を訴える。

 署名は8日間で2670筆が集まった。井上さんを世話人とする「松の湯の存続を願う会」は、法律により「住民の公衆浴場利用機会の確保をする」立場にある行政(八王子市)へ要望書を提出した。「そこまでやってもらえたら…」。小嶋さんは閉店の考えを改め、営業を再開した。ただ、小嶋さんは悩んでもいた。「ずるずると、迷いながらの日々でもありました」

帰国、退職し

 一方、そんな「騒動」は、海外にいる長男宏和さん(47)にも届いた。自動車メーカーに勤めタイに赴任しているさなか、SNSを通じて「閉店」「署名」などの展開を知った。「これだけ近所の人に思われているのなら、継ぐのがよかろう」。17年3月、帰国をした宏和さんはその意志を小嶋さんに伝えた。「そりゃ嬉しかったよ」。小嶋さんに笑顔が戻った。

 店舗は今年5月からの大規模改修工事を経て9月6日に再オープン。番台には先月メーカーを退職したばかりの宏和さんが立った。「自分もできる限り顔を出したい」と小嶋さん。「みんな小嶋さんの笑顔が好き。だから来ていた。その点は引き継いでもらいたいね」と井上さんも喜ぶ。宏和さんは「近所の方に利用していただきたいですね。銭湯は街の中にあるからいいんだと思います。残していきたい」と話した。

 市内の銭湯は現在、松の湯を含め3店舗のみ。

八王子版のトップニュース最新6

「八学」が準優勝

⾼校男子バスケ大会

「八学」が準優勝

全国16校がしのぎ削る

4月18日

「ごみ少ない街」で連覇

八王子市

「ごみ少ない街」で連覇

リサイクル率は2位継続

4月18日

ハチオウジゾウ 故郷へ

ハチオウジゾウ 故郷へ

化石 発見者が市に寄贈

4月11日

スノボ全日本で優勝

難波空良さん

スノボ全日本で優勝

手術乗り越え 来季プロに 

4月11日

文化庁 100年フードに

八王子のふるさと料理

文化庁 100年フードに

地域で継承する食に認定

4月4日

「座談会」で悩み共有

市内子育て支援団体

「座談会」で悩み共有

活動認められ文科省表彰

4月4日

あっとほーむデスク

  • 4月18日0:00更新

  • 12月14日0:00更新

  • 11月23日0:00更新

八王子版のあっとほーむデスク一覧へ

コラム一覧へ

八王子版のコラム一覧へ

バックナンバー最新号:2024年4月23日号

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook