八王子市教育委員会がいじめ防止のための新たな取り組みを始めていく。市内の公立小中学校を対象に、いじめのきっかけになりがちなSNSの使い方を学ぶ授業を新設したり、人間関係を円滑に進めるためのトレーニング・プログラムの導入などを来年度からスタートさせる計画だ。
きっかけとなったのが、2018年8月に起こった市内に住む当時中学2年生の女子生徒による自殺。
いじめが原因とされたことから、市教育委員会は再発防止のため、有識者で構成される調査組織に調査を依頼。昨夏、その調査組織からSNSや生と死の教育の見直しなどが提言として市教育委員会に提示された。
「待ったなしの状態。提言を受ける前から、できる範囲の取り組みを始めてきた。小中学校に通う子どもたちが心から楽しめる学校にしていきたい」と市教育委員会の担当者は話す。
学校への支援も
取り組みの1つとして始めるのが、いじめのきっかけとなりがちなスマートフォンなどSNSの使い方を学ぶ授業。これまでも学校内で知識として児童生徒らに伝える機会はあったものの、実践レベルに至っていなかったとして、外部講師を招いた授業を市内70の小学校に通う6年生を対象に来年度からスタートさせる。
また中学1年生に対しては、来年度から人間関係を円滑に進める技術(ソーシャルスキル)の向上を図る機会を設ける。民間企業が作成したソーシャルスキルトレーニングのプログラムを採用するなどしていく考えだ。
「限りのある予算のなかで対策を取っていく。不登校問題などに対応するスクールソーシャルワーカーを増員したり、専門の心理士による相談体制を構築するなど、学校への支援も強化していく予定」と市教育委員会担当者は力を込める。
早期発見目指す
市教育委員会は、いじめ防止を図るうえで大切となるのが早期の発見、対応とする。そのため、児童生徒らからアンケートを取り、「相談できる大人がいない」と回答した子どもには学校の管理職などが相談に乗れるようにし、「子どもを1人にしないように」していくのだという。
一方で、市教育委員会担当者は「学校はいじめ問題を隠したがるもの」とし、「いじめが無い方がおかしいという視点で各学校の報告書をみていく」とする。
「見ている」アピール必要
2児の母で、鑓水小学校(鑓水)で子どもたちの見守りにあたる大塚里奈さんは「いじめ防止には大人の目、近隣の目、友だちの目が必要。みんながちゃんと見てるよというアピールは一人ひとりの子どもの変化に気づける。行政にはそんな学校、地域をつくっていってもらいたい」と声を挙げる。八王子市私立幼稚園協会の中村健会長は「協力していきたい。小学校になってから相手の気持ちが分かる子になれるように、幼稚園では自分の気持ちを理解し、表現できるよう子どもたちを育てていきたい」と話している。
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