八王子市の学芸員による八王子城の歴史解説が好評だ。市内の小中学校、高校を対象に9月から始めたところ、「地元に目を向ける機会」と次々と依頼があり、市外からの申し込みもあるそう。学芸員は「子どもたちには自分たちが暮らす街の歴史について、胸を張って話せるようになってほしい」と思いを語る。
コロナ 学校「遠足代わり」「公式」は休止中
八王子城のガイドとしては市文化財課が運営し、ボランティアが案内する「八王子城跡オフィシャルガイド」がある。ただ、新型コロナウイルス感染症の影響で年内は休止している。
そんな中、小中学生、高校生向けに専門的な解説を企画したのが、同課で学芸員4年目の横川貴衣(きえ)さん(28)。地元小中の卒業生でもある。
きっかけは昨年6月、八王子城跡ガイダンス施設(元八王子町)のイベントに合わせ八王子城のジオラマを作ったこと。精巧な造りはとても評価が高かったため、今年は新たに滝山城のジオラマを製作した。ところがコロナ禍でイベントは中止に。そこで横川さんらは7月、市内の校長が集まる場で、ジオラマを用いた「出前授業」を提案した。
年内500人
学校への出前授業を続けるうちに「実際、八王子城へ行ってみたい」という声も聞かれるようになった。そこで横川さんは「コロナ禍の対応として郷土学習のお手伝いができれば」と施設等での案内役を買って出た。9月から始めると「この秋はコロナの影響で遠足に行けない」などと困っている学校側から続々と申し込みがあり年内のうちに合計9校、500人ほどの児童・生徒を案内する予定となっている。市内だけでなく、府中市などから訪れる話もある。
ガイドは八王子城、滝山城を軸に八王子の歴史について説明するものだが、特徴的なのは「横川さんの熱量」だ。
情熱持って接す
横川さんが学芸員を志したのは小学生のとき。当時はまだガイダンス施設がなく「原っぱ」だったこの場所へ毎年遠足に来るなどしていた。そこで自分のルーツが八王子城を建てた北條氏照に関係していることを知る。教員に歴史の勉強の仕方を教えてもらうとのめり込み、「いつか語れる人になりたい」と思うようになった。担当上司は「地元の歴史が大変好きなこともあり、情熱を持って接している。子どもたちは話にグイグイ引き込まれていく」と横川さんによる解説の様子について話す。参加した市立長池小学校の高田浩校長は「校長会で話を聞いて、子どもたちの郷土愛を育む絶好の機会と思いました。学芸員の方の熱意のある内容で、児童からは『家族と行ってみたい』『今が平和で安心』などの感想がありました」などと話した。
好きな武将語って
このような反応について横川さんは「多くのご依頼をいただき大きな責任を感じています」としつつ、子どもたちに対しては「地元のことについて胸を張って話せるような人になってほしい。好きな武将は誰?と聞かれたら答えられるようにも」と期待している。
|
<PR>
八王子版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|