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公開日:2021.03.25

八王子市
郷土資料館を閉室
31日まで 振り返る企画展

  • 展示室としての役割を終える郷土資料館の建物

  • 特別展示室入り口に展示された井上コレクションや当時のポスターなど

 上野町で53年間、地域の歴史や文化を発信してきた八王子市郷土資料館が3月31日(水)に閉室する。老朽化や収蔵資料の増加で展示室が手狭なことなどから来月、駅前商業施設へ移転する。同館は現在、市民から募集した思い出や歴史を振り返る企画展を開催している。



1967年開館 契機は市民運動



 同館は、郷土の歴史を学ぶ場所を求める市民運動から、1967(昭和42)年4月1日に開館。公立の資料館としては都内で3番目。地域博物館の草分け的存在だったという。



市内陶芸家の寄贈



 現在行われている「市民とともに53年」と題した企画展は、開館記念で展示した古墳時代の埴輪や開館時のポスター、市の広報が並ぶ。また、天神町の陶芸家、井上郷太郎さん(1918―2003)による個人コレクションも。井上さんが収集した旧石器時代から奈良平安時代の土器、石器、瓦など約2000点を市に寄贈したことが、開館のきっかけとなったため、今回展示したそう。



 企画展担当者は「当時は中央道の建設により、宇津木向原遺跡の発掘調査も行われていた。歴史を伝える郷土資料を保存しようという機運が高まり、市民運動が巻き起こったのは八王子らしさともいえます」と話す。



 建物の構造は縄文時代の暮らしを象徴する高床式。美術品が自然な色で見えるよう天窓から自然光を取り入れる設計など当時のこだわりも見える。



 開館当時の市の広報には「全国の資料館を参考にし、その粋を集めただけに、小柄でも大博物館に引けをとりません」と紹介されている。



 30年以上、同館が開催する織機体験イベントの手伝いをする男性(88歳・明神町在住)は「慣れ親しんだ場所なので寂しさはある」と話し「八王子は桑の都。どういう経過を経て今日があるのか、文化を後世に伝えていくことは大切。駅近になることで多くの市民に伝えてもらいたい」とリニューアルする館へ期待を寄せた。



 企画展は、市民から募集したリクエスト資料、資料館との思いでエピソードなどを展示している。会期は3月31日(水)まで。



4月29日に仮移転



 郷土資料館は「桑都日本遺産センター八王子博物館」と名称を改め、4月29日、JR八王子駅南口のサザンスカイタワー八王子(子安町)へ仮移転する。



 市によると「八王子駅南口集いの拠点」に新郷土資料館を整備する計画。現在の建物は当面の間、収蔵庫として利用される予定。

 

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