八王子市内高齢者の新型コロナウイルスワクチン1回目接種率が6月10日現在、6割を超え、全国平均約3割を大きく上回っている。市立小中学校体育館など、接種会場を増やし、医療従事者らの人員を集団接種に集約したことが奏功しているようだ。
「スピード最優先に」
八王子市内1回目の高齢者ワクチン接種人数はは、10万5299人で接種率は66・1パーセント(6月10日現在)。国が公表する全国の同接種率は、29・06パーセント(同)。市の1回目接種人数は都内で最も多い。
都内自治体の多くが診療所などによる個別接種と集団接種を併用する中、市は集団接種のみで進めている。温度管理や配送が難しいワクチンをロスなく使える集団接種の一方、患者の基礎疾患や体調などを知るかかりつけ医の個別接種は、接種を受ける市民の不安が少ないとされている。
八王子市医師会の石塚太一会長は「かかりつけ医での接種を希望する声があることは重々承知している。だが、今回重視しているのは接種のスピード」と強調する。
市は現在、平日は商業施設など6施設、日曜日は市内小中学校の体育館約30校で集団接種を実施する。平日は1会場600回分、日曜日は1会場1000回分の予約枠を設けている。
一方、インフルエンザなどの予防接種を行う診療所は市内で約140カ所ある。通常診療と並行して接種できるのは「1医院、1日20人が限度」。想定する個別接種の接種人数は、体育館接種3会場分となる。
石塚会長は「それなら人員を集団接種に集約したほうが圧倒的に早い。一刻も早く集団免疫を得て、生活の制限を受ける現状を脱すことが最優先」と話す。
市は、接種会場に配置する医療従事者を市医師会のほか、民間業者に依頼している。会場の導線や人数のシミュレーションなど、市医師会と昨秋から話し合いを進めてきたという。
市担当者は「集団に固執するのではなく、途中で方向修正もある。とにかくスピード感を持ち対応していく」と話す。
近隣市の状況は
八王子市に隣接する多摩市は、市内3カ所での集団接種を先行し、個別接種についても今後実施していく予定だという。同市高齢者の1回目接種人数は10日現在、2万646人、接種率は5割を超えている。市医師会の田村豊会長は「患者などから個別接種を望む声が多い。今のところ市内30、40カ所を想定している」と話す。
また、町田市は個別接種をメインに、集団接種を併用する。6月1日現在、個別接種できる医療機関は131カ所。集団接種は最大10カ所で行っている。同市担当者は「集団接種は医療従事者の確保が難しい面もある」という。9日現在、同市高齢者の1回目接種人数は約3万1000人、接種率は3割弱となる。
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