八王子市は、消費期限や賞味期限が迫る商品や食材を安く提供する事業者と、消費者をつなぐサービスを10月から開始する。事業者が専用サイトに登録する商品を、消費者は購入予約後、店を訪れて商品を受け取る。市は、この取り組みにより年間8トンのフードロス削減を目指すという。
八王子市が導入した専用サイト「タベスケ」は、自治体向け食品ロス対策サービス。姫路市(兵庫県)や松本市(長野県)、甲府市(山梨県)で導入されている。
事業者が消費期限などが近い商品、食材の写真や在庫数、受け取り期限や削減量などをタベスケに登録。サイトを見た利用者が予約後、店を訪れて商品を購入する仕組みとなる。
市は、商品の価格設定を事業者に任せるが、定価のまま出品する場合は、理由を明記してもらうという。また、事業者が利用する場合は、「八王子市完食応援店」への登録が必須となる。市担当者は「事業者は廃棄削減となり、市民へのPRにもなる。市民は安く商品を購入できる。無理なく食品ロスに取り組める」と期待する。
2021年3月に導入した姫路市は、ユーザー数約2万人、協力店舗数39店が利用している。八王子市によると、姫路市の削減量は半年で約4トン。人口規模が八王子市と同じことから、市は年間8トンの削減を目標に掲げているという。
周知に課題も
八王子市完食応援店に登録する食品販売店は「市内農家から直接仕入れる地元野菜を取り扱うため、数の調整は難しい。店のPRにもなるのでいい仕組みだと思う」と導入に前向きな姿勢を見せる。「あとはどれだけサイトを利用するのか気になる」とも。
市内で惣菜を販売する店主は「売れ残りそうなときは値引きして販売するが、廃棄が出ることはある。いい取り組みだけど従業員が少なく、情報の登録や利用者対応まで手が回らなさそう」と、難しさを語る。また、乾物店の店主は「商品の価値が下がるのは嫌だが、社会の流れとして一般的になるなら始める」という意見もある。
市担当者は「一番重要なのは周知。利用者、参加する事業者の双方を増やしていく」と話す。現在、完食応援店に登録する事業者210店舗へ案内する。また、それ以外の事業者には市職員が説明していくという。
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