食料品のお買い物をしながら、ご近所同士で楽しくおしゃべり--。大型の小売店舗が近隣になく、高齢者を中心に「買い物難民」問題を抱えていた自治会の市営住宅泉町団地では、移動販売を６月に開始。（株）ダイエーが運営するスーパー「グルメシティ高尾店」（初沢町）の移動販売車が毎週木曜日、集会所横に来ている＝写真（今月８日）。

　同団地は２年前の建て替えで居住者が入れ替わり、住民間交流も課題に。自治会は八王子市高齢者あんしん相談センターもとはち南と連携し、移動販売の誘致を検討。相談を受けた同店が協力することになった。この移動販売車は現在、週に約20カ所を巡回している。

　販売車で扱うのは同店の商品約３００品目。野菜や果物、魚、肉、米、パン、加工食品のほか日用品も並ぶ。売り値は店頭価格と同じで、移動販売の手数料は１品11円、上限55円としている。販売時間は午後３時から３時20分で誰でも利用可。６月16日の開始以降、１日平均16人程度が訪れている。

　団地建て替えに伴い、昨年末に発足した自治会の会員は１０７人。自治会長の塚田敏雄さんは「重いものを遠くまで買いに行ってたので助かっている。まだ知らない人もいるので周知していく」と現状を話す。多世代交流を目指し、今後はお茶会などの催しも模索中という。もとはち南の市野瀬葉子センター長は「世代を越えた地域の支え合いにつながる」と期待。ダイエーのＩＣＴ戦略本部・植田龍輔さんは「決まった曜日、時間帯に人が集まることで、一人暮らしの方も外に出て話をするきっかけになる。多くの方にご利用いただき、まちが元気になれば」と願いを込めた。