高尾紅葉台自治会(谷口充生会長)により運営されている循環バスが、10月に運行20年を迎えた。日曜と祝日、年末年始を除いて1日23便。コロナ下では乗客減少で値上げに踏み切りながら、事業を続けてきた。自治会約500世帯の地域で市民生活を支えている。
交通空白地域に
高尾紅葉台自治会は、狭間町にある高台の住宅に住む約500世帯で構成されている。同所のほとんどの世帯が最寄りバス停から300メートル以上離れた「交通の空白地域」。最寄りの高尾駅まで、徒歩で最大30分程度かかるという。
この住宅は造成されて約45年。当初「いずれバスが通る」と聞いて購入した人もいたが、実現せず。2002年10月、同自治会で循環バスの運行を開始した。自治会の谷口会長は「高低差は100メートルほどの高台。中腹にある自治会館より上に住む世帯の方が多く、当初は、高齢化を見据えた取り組みでもあった」と振り返る。
運行開始5、6年ほどは赤字運営に。乗客が増加したことやバスに掲示する広告収入もあり、黒字に転換した。
赤字は410万円
コロナ下の一昨年は外出自粛やリモートワークが増加し、乗客が激減。多いときで1日200人だった乗客が130人ほどまでに減った。20年度の収支は410万円のマイナスに。市の助成金とこれまでの余剰金で賄ったが、赤字は続いた。
バス廃止の危機を受け、自治会からは継続を望む声が上がった。「匿名でこっそり循環バスの担当者宅のポストに寄付金が入っていたこともある」と谷口さん。そうした声を受け、同自治会は、2022年7月、料金の値上げ改定に踏み切った。大人210円から240円に。また、一時期より乗客が戻ったことも追い風になった。バスを運行する高尾輸送サービスの運転手は「出勤、通学時は満員になることもある。乗客が戻りつつある」と実感しているという。
谷口さんは「諸先輩方の知恵や協力で20年間も運行できた」と感謝。「今期は黒字化を目指せそう。今後も住民の大切な足として運行し続けたい」と思いを話した。
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