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公開日:2023.06.22
上川の里
保全へコカ・コーラ協力
大手企業と市 協定続く
八王子市北西部の上川町に豊かな自然が広がる「上川の里」。12年前に市が特別緑地保全地区に指定して以降、地域住民やNPO、事業者らの手で里山の維持管理や利活用が進められている。今年3月に(株)NTTドコモ、6月に日本コカ・コーラ(株)とコカ・コーラボトラーズジャパン(株)と、市が上川の里の保全活動に関する協定を締結するなど近年、大手企業からも注目を集めている。
今でこそ里山保全活動が進められている上川の里だが、15年前に産業廃棄物最終処分場になりかけたことがある。かつては豊かな田んぼが広がっていたが、25年ほど前から荒廃農地となり、そこに産廃処分場の建設計画が持ち上がった。これに反発した地元3町会が同盟を組み、集会やデモ行進を行ったことなどを受けて、業者は計画を断念。市が用地の一部を買い上げて特別緑地保全地区とした。その後、地元町会で草刈りや散策路の管理などの保全活動を続けていたが、5年前に地域住民有志らで設立した「NPO法人街づくり上川」が、現在はそれらの業務を引き継いでいる。
同法人の理事長を務める高野誠三さん(75)は「この12年間で散策路や水田が整備され、生き物の観察会や稲作体験などもできるようになった。今後も先輩たちが守ってきた里山を、多くの人が自然に触れられる場所として未来に受け継ぐため、行政や企業などと連携しながら利活用を図り、魅力を発信していきたい」と展望する。
「産官民」で連携
2023年6月時点で、市が上川の里の保全活動協定を結んでいるのは8団体。大手企業としては、3年前に締結した本田技研工業(株)がある。今回の協定でドコモは林業機械の遠隔操縦や自動運転などの研究、環境保全・再生、子どもたちの環境教育などに取り組む。コカ・コーラは水源涵養を目的とした間伐や植林、子ども向けの自然観察会などを実施するとしている。
ドコモとの協定締結式で石森孝志市長は「私たちが取り組まなければならない自然や環境問題の解決には、官民の垣根を超えた協働の取り組みが不可欠。協定の締結が上川の里の自然環境をより良好にする体制の充実につながると心強く感じる」と強調。今後も持続可能な社会の実現を目指しさまざまな施策を進めていくと宣言した。
相次ぐ大手企業との協定について、市環境保全課は「協働の取組みは防災やごみ、林業などの他分野においても、各企業の強みを生かした官民連携にもつながる可能性がある」と期待を寄せる。上川の里については「『多様な活動や活用による里山空間の復活』を目指す。地元と調整を図りながら、協定締結団体の活動の幅が広がるような基盤整備に努めていく」と先を見据えた。
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