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公開日:2023.08.03

八王子在住神邊一善さん
「口絵」文化知って
夢美術館に1,000点超 寄贈

  • 8月末まで八王子市夢美術館で行われているコレクション展(上)。作品を寄贈した神邊さん

  • 展示作品の一つ《虫の音》(『文芸倶楽部』第9巻第11号 口絵/三島蕉窓)

 新町にギャラリー「茶論DO神邊(サロンドカンベ)」を開いていた神邊一善さん(87)が、自身のコレクションで、明治時代を中心に流行した「口絵」など1030点あまりを八王子市夢美術館(八日町)に寄贈した。神邊さんは「40年以上かけて収集したコレクションを散逸させまいと、市内美術館に着目。展示される機会が少ない『口絵』の素晴らしさを知ってほしい」と思いを込める。

 口絵とは主に江戸時代後期から大正時代にかけて、書籍や雑誌の本文の最初に挿し込まれていたイラストのこと。浮世絵と似ているが、より安価なのが特徴。神邊さんによると「彫(ほり)や摺(すり)の技術が優れていた」という。冊子に華やかさを加えるもので、書籍の売上に貢献することもあった。

 神邊さんは、浮世絵の美人画を集めていた折、神田の古書店で口絵に出会い、その美しさに見惚れた。それ以来、古書店や骨董市を巡ったり、時には業者にも探してもらうなど熱心に収集を続けた。

 来年米寿を迎えることを機に、ギャラリーは先月末で閉廊することに。私蔵品の一部を同館や東京富士美術館(谷野町)に寄贈するに至った。

 神邊さんは「長年ライフワークとして収集したコレクションを散逸させたくなかった。これを機に、口絵の文化を皆さんに広く知ってもらいたい」と胸中を明かす。

 寄贈された口絵の数々は、「保存状態が大変よく、制作された当時の姿を彷彿とさせる鮮やかな色彩が特徴的」という。同館の学芸員は「この作品量の寄贈は非常にまれ。国内で集めている人が珍しく、海外で人気に火がついたこともあり、当館の収蔵品の幅が広がる」と感謝の意を表す。

 寄贈品は今年6月末から同館で「神邊コレクションの近代木版口絵―雑誌『文芸倶楽部』と小説口絵の世界-」として展示されている。『文芸倶楽部』とは、明治時代に尾崎紅葉や樋口一葉も寄稿した文芸雑誌。約20年間、ほぼ毎号巻頭を口絵が飾っていた。

 会期は8月31日(木)まで。詳細は同館【電話】︎042・621・6777。

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