上恩方町にある恩方中学校(植田恭正校長)の生徒らが11月17日、猿などによる獣害対策のため近隣農園で出荷予定のないゆずを収穫した。収獲した約120キログラムのゆずは、市内全公立小中学校で12月22日の冬至前後に給食として提供される予定だ。
エサを求め山からおりて来た猿やイノシシにより、農作物や人間の生活に被害を及ぼす獣害。市内でも被害は出ており、野菜や果樹などを収穫せずに放置することが野生動物がやってくる一つの要因と考えられている。
今回、上恩方町の一角にあるゆず園で収穫作業を行ったのは、恩方中学校の2年生約85人。実を傷つけないハサミの切り方などのレクチャーを受け、30分ほど作業に当たった。男子生徒は「枝ごと切って手元に寄せてからもう一度切ると見た目がきれい」。女子生徒は「全部獲ってしまえば猿の被害も減るのかも」と作業に精を出した。
三方よしで初実施
この取り組みは今回が初実施。宮ノ下町会(馬場俊男会長)や力石町会(中村光夫会長)で農作物への獣害被害があることや、恩方中の敷地内に猿が出没することなどを受け、町会、学校、市獣害対策課などがタッグを組んだ。上恩方町で個人の事情により出荷予定のないゆずの木約40本に対し、学校側は獣害対策や地域理解、地域貢献の一環として収穫作業に参加。収獲したゆずは市が買い取り、学校給食課が冬至の日に合わせたゆずメニューを市内の全公立小中学校に振る舞う予定。
馬場会長(宮ノ下町会)は「たくさんの人手により、無駄になる果樹が減った」と生徒たちの活躍を称えた。一方の植田恩方中校長は「一回で被害がなくなるわけではないが、地元への貢献として参加させていただいた」と話した。
ゆずは冷凍し、魚介類の「柚子みそ焼き」やタレにゆずを使用した「幽庵焼き」などで提供される。獣害対策課の担当者は「三方よしの取り組みなので、他の果樹や町会でも水平展開していけたら」と展望を話す。
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