垣根超え、総合力を

　○...２００９年に開署した南大沢警察署の10代目署長に就任。「一生懸命仕事しよう」「町の意見を反映しよう」「無駄なことをやめ、町のために時間を割こう」「ライフ（私生活）を充実させよう」。８月の就任あいさつで署員約３５０人に呼び掛けた。頭文字をつなげると自分の苗字になるユニークな「あいうえお作文」だ。「インパクトが大事だと思ってね」と柔らかに微笑む。

　○...20歳で警察官になってからは23区内に配属されることが多かった。警察学校の指導助教や刑事などさまざまな現場を経験し、直前は警視庁の生活安全相談センターで統括官を務めた。ご近所トラブルや暴力、犯罪行為など、さまざまな種類の相談が、年間で約13万件が寄せられる部署だ。「命に関わる案件が埋もれないように丁寧に内容を聞いて、対策や対応を指導・助言する。係員には『自分事と思って対応するのが原則だよ』と伝えていました。リーダーとして多角的な視点も養えましたね」

　○...熊本県出身。兄からのおさがりの竹刀を手に、小学３年生の頃から剣道に励んだ。「子どもの頃は毎日稽古だった。自然と礼儀が身に付きましたね」。めきめきと上達し、数々の団体戦で優勝を経験。幼馴染ともいえる地元の「剣友」はかけがえのない存在だ。

　○...午前７時に道場で素振りを始めるのが朝のルーティーン。時には管内のウオーキングを楽しむ。できるだけ地図アプリを使わずに毎回違うルートで歩くことを心掛ける。「緑が多いし、景色がいい。いつもすがすがしい気分になりますね」。今後は庁内の垣根を越え、総合力を発揮できる警察署を目指す。「先入観のない公平性を大切に、署員一丸となってやっていきたい」