八王子 社会
公開日:2025.08.07
東京都八南歯科医師会 八王子支部長インタビュー
歯並びは親からのプレゼント?
8月8日は『歯並びの日』
「8(は)」と「8(は)」が並んでいる語呂合わせなどから日本臨床矯正歯科医会が制定した「歯並びの日(8月8日)」。この日を前に、歯並びや歯について考えるため、東京都八南歯科医師会の竹内将人八王子支部長(みなみ野歯科医院)に、良い歯並びの重要性や、口腔機能全体における歯並びの位置づけについて話を聞いた。
良い歯並びは利点多数
竹内支部長はまず、「歯並びを気にする人は、30年前と比べると増えた印象」と話す。確かに、歯並びが良いと見た目がきれいなだけでなく、歯磨きがしやすくなり磨き残してしまう箇所が出にくい。
したがって、生涯にわたりむし歯や歯周病に対するリスクを低減できるという利点がある。さらに歯並びが良さは、結果としてかみ合わせも良好な状態となり、「咀嚼能力が向上する」という。
しかし竹内支部長は、「歯科矯正は多くの場合、保険がきかず全額自己負担となる自由診療であり、治療費は高額となる傾向がある。そのため、誰に対しても簡単に勧められるものではない」と強調する。
また、「歯並びは親からのプレゼント」という言葉があるように、子どもの歯並びは遺伝性要因に加え、指しゃぶりや舌の癖といった口腔習癖に大きく影響される。
年代に応じた予防対策を
口腔の状態は、年齢やライフステージの変化によって変わってくるので、「それぞれの年代に適した予防対策を行っていかなくてはならない」と竹内支部長。「たとえば、若年期はむし歯の予防、歯並び、かみ合わせに気を付ける時期であるし、中年期はむし歯、歯周病が重症化しないように気を付ける時期である。さらに、高齢期になると歯の健康だけでなく、嚥下(えんげ)機能の維持が非常に重要」と説明する。
また、日本歯科医師会が推進する『8020運動』は「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」というスローガンだが、「単に歯が残っていれば良いというわけではない」と指摘する。食べ物をしっかり噛み砕き、飲み込むための嚥下機能の維持が大切で、この機能が衰えると、「食事から十分な栄養摂取ができないばかりか誤嚥性肺炎などのリスクも高まり、全身の健康に大きな影響を与える」という。
『歯並びの日』のこの機会に、自身の歯並びや口腔内全体の健康について、かかりつけの歯科医に相談してみてはいかがだろうか。
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