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八王子 人物風土記

公開日:2025.11.13

今年20周年を迎えたNPO法人すずしろ22の理事長を務める
飛田(とびた) 恵美子さん
市内在住 65歳

農地の大切さ 気づいて

 ○…市内の農業の持続的な発展を願い、市民グループとしてさまざまな取り組みを続けて20年。節目を記念し、10月には式典を開催した。掲げる三本柱は、「援農活動」「市民農園の運営」「地産地消啓発活動」。「これからも設立当時の想いを忘れず、この三本柱を実践していきたい」と理事長として揺るぎない信念を見せる。

 ○…石川県出身。農業や林業にいそしむ父親の背中を見てきた。同じ道を目指すが、父からは「儲からない」という現実的な忠告。大学進学を機に上京し一度は一般企業に身を置いたが、「農家になりたい」という根強い思いが胸に残って消えなかった。

 ○…行動を起こしたのは結婚・出産後。次男が幼稚園に入園したのを機に、林業について学ぶべく、農学系の大学に入り直した。夫や姑のサポートを受けながら通い続け、興味の矛先は林業のみならず、土壌、水質などに移行し、気が付けば大学院修士課程を修了。卒業後、就職の誘いもあったが、学び直しの動機は始めから「身の回りの自然環境をいかに守るか」。同じ志を持つ仲間で、すずしろ22を立ち上げることになる。

 ○…「農地の大切さを訴えても、多くの人は自分事として捉えてくれない」と肩を落とす。しかし、食料の生産基盤、地球温暖化防止の観点からも、「土や緑は人間にとってなくてはならないもの。心身ともに健康をもたらす」と実感を込める。八王子で暮らして約30年。農家の高齢化が進み、手放された農地が戸建てなどに変わっていくのを見ると、はがゆい思いを抱くことも。一方で、法人内で市民農園や援農活動から就農につながった会員もいる。農家と市民の架け橋として、その役割はますます重要になっている。

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