大和版 掲載号:2018年11月30日号
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30周年を迎えた朝霧市の出店者組合長を務める 井上 修身さん 上草柳在住 64歳

次代のために種を蒔く

 ○…味は同じでも形の良いA品しか市場で買い取ってもらえない。たとえ形が悪くても自信を持って”美味しい”といえる、生産者の自負を消費者に届けたい、そんな農家の思いが朝市を始めるきっかけだった。時は昭和の終わり。関係者たちと朝市の”先輩”厚木市に視察に出かけた。侃々諤々の議論の末、平成が幕を開けたのと時を同じくして始まったのが朝霧市だ。

 ○…直売の魅力を「お客さんとの会話」と話す。時にはリピーターから『去年の方が美味しかった』などの苦言を受けることも。「でもそこにヒントがある。これが大事」と前向きに捉える。朝市での出会いがきっかけでスーパーや飲食店等への販路拡大につながってもいる。

 ○…東農大の出身。酒屋を営みながらの”半農半商”だった祖父、芝生を育てながら農業を続けた父の時代を経て大学卒業後、実家に入り、農業に勤しむ。1年中休みのない毎日、自然相手の戦いで安定しない収入。若い頃には「勤め人の方が…」との考えが頭をかすめたこともあった。それでも時代の変化に対応しながら野菜中心に本格的な農業に舵を切る。現在は夏7種類、冬10種類の野菜を出荷。「身体は忙しいよね。でも面白い」と笑う。取材直前にジャガイモを手掘りし、畑の土で真っ黒になった手の指一本一本が、「うん」と頷いているように見えた。

 ○…農業経営の課題は後継者不足。それでも毎年のように農業高校の生徒や農業研修生がやってくる。「年に10人以上来る時も。時々『若い子が何で?』って思うよ。だってうちの息子がやらないのにね」と苦笑い。「結果的に農業を離れて就職する子もいるんだけど、報告に来てくれるとすごくうれしい」と目を細める。農業に従事する者として次代のために地道に種を蒔く作業が続く。

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