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大和 人物風土記

公開日:2024.03.29

「大和市肢体不自由児者父母の会」の会長を務める
下河辺 治美さん
福田在住 55歳

皆の笑顔を願って

 ○…「歌とダンスで世界旅行」と題するイベントには劇団四季や宝塚歌劇団の出身者たちが出演を予定し、一流のエンターテインメントを披露する。「普段は鑑賞中に声を出すことはできませんが、この日は大丈夫。皆に最高の時間を楽しんでほしい」と呼びかける。そんな「出前公演」は心身に障がいのある人たちにとって貴重な機会。「皆が笑顔に」と願いながら、準備に奔走してきた。

 ○…横須賀市に生まれた。「幼い時から好奇心旺盛な性格だった」といい、小学生のころは剣道とそろばん、中学校では吹奏楽部でトロンボーンに夢中になった。進学した高校は新設校で1期生だった。今度はサッカー部のマネジャーに挑戦したが「部員は1年生のみ。上級生がいる他校にはなかなか勝てなかった」と、悔しくも裏方として献身的にチームを支えた日々を懐かしむ。

 ○…高校卒業後は保育の専門学校に学び、社会に出てからは知的障がいのある人たちが入所する施設で子どもや大人たちのサポートに携わった。28歳で結婚し、福田へ。重度の障がいがある子と夫、義母との生活が始まった。ほどなくして、知人の紹介で「市肢体不自由児者父母の会」へ。「悩みや課題を共有できる仲間がそばにいて、そのぬくもりを感じられることが本当にありがたかった」と振り返る。

 ○…現在は障がい児者のヘルパーとして働き、会長のほか、難病の子どもを支援する認定NPO法人にも携わる。「視力が低下しても眼鏡を使えば不自由のない毎日を過ごせる。同じように、障がいがあっても不自由のない楽しい日々を全員が過ごせる環境の整備を」。笑顔の奥にはそんな願いがある。今日も「皆が笑顔に」をモットーに、まい進する。

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