荻野運動公園で先月25日と26日、アブラゼミの鳴き声が市学芸員によって観測された。アブラゼミが10月下旬に鳴いているのは極めて珍しいという。
神奈川県で遅鳴きの記録が残っている60年前から、11月に入りアブラゼミが鳴いたのはわずか3例のみ。厚木で最も遅い遅鳴きは荻野で1984年11月9日。
学芸員の槐真史さんによると、今年は7月に台風と低温の日が続いた影響からか、例年8月上旬にピークを迎える羽化が、9月中旬にずれ込んだ。羽化が遅れた原因はピーク時直前の天候不良が原因とみている。
市郷土資料館が毎年行っている小学生とともに中央公園の虫を調べる「むし☆しらべ隊」のまとめによると、今夏、中央公園でアブラゼミの抜け殻がおよそ1800見つかった。一日に成虫になったセミの数のピークは8月18日で146匹。例年なら8月上旬に150匹前後とピークを迎えるが、今年は10日ほど遅れた。また、9月にはほとんど見られない抜け殻が25見つかっていることからも、アブラゼミの羽化が遅れたことが実証できるという。
槐さんは「夏場の不安定な天候がセミの生態系に影響を及ぼしたといえます。11月は温かい気候が予想されており遅鳴きの記録が更新される可能性はいつになく高いと予測します」と話した。
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