澄んだ空気、眼下に広がるのは素晴らしいロケーション。ここは市内飯山。建築設計会社・株式会社日比野設計は今年1月、社内にレストランを開設。働き方改革の一環として、朝型勤務を促進するため、社員に朝食の無料提供をはじめた。誰もが「働き方」を模索するいま、同社の取り組みを取材した。
朝8時。同社内のレストラン「2343」がオープンする。提供されるのは、有名ホテルの朝食ビュッフェにも引けをとらない、新鮮で地元の食材にこだわったメニューばかりだ。待ちかねた社員らが次々と訪れ、笑顔で会話を交わしながら、好きなものを好きなだけサーブする=写真上。
従来の設計事務所といえば、仕事は深夜に及ぶのが当たり前。しかしこれからの働き方は多様性をもたなくてはならない。「まずは早く帰る」「変えるためには朝シフトへ」と社長の日比野拓さん(=写真中央/レストランテラスで)は考えた。早朝勤務のメリットを感じてもらい、一日の仕事効率を上げるためにも「栄養価の高い朝食を提供しよう」と、専門のシェフも採用する徹底ぶりだ。
当初は働き方改革だけが目的ではなかったという。「福利厚生的な意図もあったし、建築設計の仕事は食の空間の提案が大切。それを実践する場としても考えていた」。会議室だったこの場を改築し、すべてを兼ね備えた空間「2343」が出来上がった。
「常にベストに変化していけばいい」。これは取材時に印象に残った日比野社長の言葉。この取り組みを導入してまだ数カ月。「生産性が上がったとか、明確には言い切れない。でもだめならすぐに別の事を試す」と。この柔軟性がカギなのだろう。朝シフトになったおかげで早く帰宅し、ご主人の夕食を作れるようになったと話す女性社員の笑顔が印象的だった。
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