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厚木・愛川・清川 コラム

公開日:2019.01.25

街の顔

 初めてのデートは高校2年生の冬、厚木ミラノ座で「スターウォーズ」と「宇宙戦艦ヤマト」の2本立てを観て、その後、小杉会館の近くにあった喫茶店「ポランの広場」でココアを飲んだ。当時の行きつけは内田屋書房の上の「シャノアール」だったけど、デートなので少し贅沢した。ミラノ座のCMタイムに確かモーテルの宣伝があってドキドキしたのも今は懐かしい。



 ここに書いた場所すべて、今はもうない。



 それぞれの店、場所に顔があった、と思う。「シャノアール」はチェーン喫茶店のさきがけで、どこにでもあったけど、その頃、厚木の「シャノアール」はどことなく厚木の顔をしていたような気がする。若者はその田舎臭い感じが嫌で、気張って新宿なんかに出張って行って「マイアミ」や「カトレア」で、バイオレットフィズとか頼んでみたりしていたわけだ。



 でもその遠征から帰ると、小さな冒険の手柄話を厚木顔の店でしていた。



 劇団の旅公演で全国を回って来た。今年も6月に東北ツアーが予定されている。そこでつくづく思うのが、全国どこに行っても同じ風景になっているなあ、ということだ。車で行くショッピングセンター、そこには映画館もレストランもあって、全国同じメニューが置いてある。もちろん、全国同じ味と盛り付け。



 それぞれに思い出は刻まれてゆくのだろう。しかし「ポランの広場」なんて、そのまま歌詞になりそうな、言葉や景色がそこにあるだろうか。

 

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