厚木・愛川・清川 コラム
公開日:2019.02.22
ラッキィ池田
天才から何かを教わるという経験は、簡単に出来るものではない。近所に住んでいたアインシュタインから算数を習った少女がスイスにいたそうだが、それだけで伝説となっている。実は厚木にも、そういう幸運な子供たちがいる。あつぎ舞台アカデミーの生徒たちだ。ラッキィ池田という天才振付師からダンスと、独創的発想法を伝授されている。
かく言う私も、演出家と振付師として共同作業をしながら、いつもラッキィさんの才能に驚嘆させられる。舞台転換の場繋ぎのために、短いダンスシーンを発注すれば、そのシーンがたちまち見せ場になってしまう。しかもダンスなのに、なぜかオチまでついて、本編よりも大きな笑いまで取ってしまう。
踊れない人間を踊らせることが、ことさら上手い。たまにダンサーを端っこに回して、わざわざ踊れない役者をセンターに配置したりもする。我々は腹を抱えて笑うことになるが、だからと言って芝居を壊すことは決してしない。踊れない人間の踊りが、ラッキィ池田の魔法にかかると巧拙を超越して、人間臭くて愛おしいものに変えられてしまうのだ。綺麗でカッコ良いばかりが踊りじゃない。命と個性が輝くことこそ、ダンスなのだとラッキィダンスは教えてくれる。
頭にゾウの玩具を乗せた変な芸人としか思っていない方も多いと推察する。しかしこの人こそ我が国のダンスの歴史を変えた天才である。そんな天才が毎月、文化会館で厚木の子供たちに真剣にレッスンをしてくれている。
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