厚木・愛川・清川 コラム
公開日:2019.05.24
ドリームシート
芝居にハマるきっかけとなったのは厚木高校1年生の時、たまたま入った演劇部で先輩がチケット代を奢ってくれて本格的な舞台を見たからだ。弱体化していた演劇部では、部員の確保に必死で、名前の登録だけで良いからと頼まれたのだった。演劇に興味もなく、名前だけの幽霊部員になるつもりだった。そのお礼にと、先輩たちが横浜の青少年センターで上演された、つかこうへい事務所の『熱海殺人事件』に招待してくれたのだ。
後にそれは演劇史に残る名作で、たった一回だけ青少年向けに格安上演されていたという奇跡的出会いだったと知るが、その時はつかこうへいを知らないし、俳優たちも無名だったし(後に皆さん、メジャーとなられたけど)奢りでもなきゃ、見に行くことはなかっただろう。ところがその舞台を見て、たちまち心奪われ、つかに憧れ、真似事を始めて以来42年、こうして劇場の住人となっているのだから人生は分からない。
そんな目覚めだったので、若者たちにいかにして芝居と出会って貰うかは私の中でずっと重大なテーマだ。今回の公演『新浄瑠璃百鬼丸』では、財団が協力してくれて若者の無料招待が実現した。その名もドリームシート。この公演が誰かの奇跡となることを祈っている。
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