とある市で、一際目立つ店を発見した。「らっしゃい。天気が良いからおまけしちゃうよ」「今日はかあちゃんの命日だ。おまけで2個つけちゃうよ」などと、ダミ声だけれど心地よい、まるで上野のアメ横かと錯覚するようなテンポ良い喋り口。買い物客は思わず足を止め、商品を手に取り、笑顔で買っていく―。周囲の客も2人のやり取りを見て楽しんでいる。時には行列を作り、客足が途切れれば話術で客を呼び込む、名物店主に話を聞いた。
波乱万丈の半生
店の名は半田商店(厚木市鳶尾)。パティオとびお内の青果店だ。店主の半田満志さん(70)は秋田生まれ。厚木市にも事業所を置く大手メーカーで設計を担当したが「退屈で退職し、八百屋へ修行」に。1人で2日間30万円を売上げるなど活躍し、半年で鳶尾に店を出したのが25歳の時だった。
「モノを売るにはお客さんを楽しませて、喜ばせなきゃ」と、一瞬立ち止まるようなジョークを交える話術で業績を伸ばし、大和や藤沢にも計8店舗を持ち、年商は7億にもなった。その後、支店は若い衆に譲り、保証人詐欺で6千万円の負債を負うも十数年で完済。現在は鳶尾の店舗のみを経営。店には、子連れの若い奥さんから90過ぎのご婦人まで、老若男女が世間話がてら買い物を楽しみ、客足がやむことはない。
今後は「良い若いのがいれば、日本橋の一等地でもう一度勝負したいねえ」とニヤリ。情熱はまだ燃え続けている。
義理人情
サービスできる秘訣を聞くと「市場はみんな協力してくれる長い付き合い。持ちつ持たれつで、自分の損得だけを考えないから」と、義理人情に重きを置く。現場も仕入れも、人の繋がりを大切にする、古き良き商店がそこにあった。
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