不謹慎かもしれませんが
うちの近所に常にガラガラの喫茶店がある。独りになれるので、書斎代わりによく利用している。それほど客がいない。
このステイホームで、さすがに潰れるだろうと思った。しかし今も営業している。うっかり親しくならぬよう、店主とも話さないようにして来たのだが、先日、久しぶりに訪れて思わず声をかけてしまった。
「持続は出来そうですか?」
ちなみに我が扉座は風前の灯火だ。芝居なんか不要不急の代表だ。最も被害の大きいカテゴリーで、業界全体青ざめている。弊社も20年間維持して来た飯田橋の事務所を解約して引き払い、一切合切を稽古場に運び込む緊急事態となっている。
「思いがけず持続化給付金を百万円も頂戴しまして。こんな大金、今まで持ったことがないので、びっくりしてます。長く喫茶店やって来て、今年が一番金持ちです」
辛い話ばかりでなく、こんなハッピィの一つぐらいあっても良い。そうやって多少お金も溢れてくれないと、我々の不要不急の仕事にまで回っちゃ来ないだろう。
かつてニューヨークで長期に渡る大停電があった時、街も人も大混乱に陥ったけど、暗闇に灯されたキャンドルの灯火で、さまざまな恋が生まれたという。
コロナ禍の不安のなかで、ステキなことも起きていると信じたい。
目下、厚木市文化会館も扉座も、さまざまな活動の再開に向けて鋭意努力中です。文化芸術は生命維持装置。大事に再起動させてゆきます。
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3月8日