優しき喝采
今、このコラムを書いているのは、扉座公演『解体青茶婆』の初日の夜です。扉座は二十年近く、公演のほとんどを厚木市文化会館からスタートさせて頂いています。そして土曜夜の初日、日曜日の厚木楽日の二日間共に、大宴会が開かれて扉座をサポートして下さっている、市民応援団の方々と歓談をすることが常でありました。
しかし今回はコロナ禍での公演なので、乾杯も一切なし。キャストもスタッフもお客様も終演後、面会もせず直ちに帰路につくことになりました。
実に一年半ぶりの厚木公演なのに、どんなに味気なく寂しい公演になるかと不安でした。でもそんな心配は必要なかった。客席数も大幅に制限されて、小ホール半分以下の入場数でしたが、開演のかなり前からお客様たちが会館に集まって下さり、期待のメッセージをSNSなどに上げて下さったり、皆さんマスク着用で話し声が立つわけでもないのに、静かな中にもこの日を待っていた、という熱気が満ちていて、それが確かに我々にも伝わって来ました。
終演の拍手も熱く、そして優しかった。待っていてくれた、お客さんに乗せられて舞台の出来もかなり良かった。けれどそれ以上に、芝居が劇場に戻って来た!そのことを心から皆で祝い合う、深い絆を感じさせてくれる響きが劇場中にこだましました。
宿泊した厚木のホテルで興奮と幸福をしみじみ噛みしめつつ、また一つ厚木で得た特別の記憶を書き留めています。
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4月19日