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厚木・愛川・清川 社会

公開日:2022.10.21

TAKEO(株)の三橋さん
厚木で養殖 バッタ菓子に

  • 円筒型の飼育モジュールは100円均一ショップの資材を組み合わせたもので、低コストだ

  • 6月から試験販売されたせんべい

 春から秋にかけて草むらで出会うバッタ。身近なこの虫が、厚木市七沢で試験的に養殖されているのをご存知だろうか。せんべいに加工され、品切れ御免の人気商品になっている。

 七沢の住宅地にある、1棟のビニールハウス。その屋内には網が吊るされ、中には100匹ほどのトノサマバッタがカサカサと音を立てていた。

 この養殖プロジェクト「むし畑」は、食べる昆虫の販売などを手掛けるTAKEO(株)(東京都台東区)と、バッタの研究を続ける弘前大学が2年前から続ける事業だ。同大は生産技術開発を担い、乾燥飼料の開発などを行う。同社は実証試験や商業生産の確立を目指す。担当している三橋亮太さん(35)は地元玉川小、森の里中の卒業生で肩書は同社のCTO(最高技術責任者)だ。三橋さんは厚木高校を卒業後北海道大に進学。農業を学ぶ中で書籍に出合い、まだ開拓の余地のある昆虫食の分野を知った。その後も昆虫の生態などを研究。香料メーカーを経て同社に入った。味と香りの専門知識を生かして、パック詰め商品やドリンクなど、数々の商品開発に携わった。それらは通販でも人気で、大山ケーブルカーの売店などでも販売されている。同社は藤沢の飲食店にも食材としての虫を供給しており「神奈川の昆虫食は盛り上がってきている」と三橋さんはみる。

大量生産はまだ課題も

 バッタは牧草のような爽やかな香りとエビのような風味を合わせた味が特長。焼いたり揚げたりすると、茶やノリのような風味になり、色は赤く変わる。ネットの中のバッタは白っぽい色で、弘前大から分けてもらった養殖に適した系統だ。1カ月半ほどで「収穫」でき、成虫が産んだ卵からまた成虫へと育てる。

 大量生産に至っていないその理由のひとつが、餌やりの手間暇だ。すでに量産されるコオロギは雑食性で、魚紛や鳥の餌でも育つ。一方バッタは生の草しか食べないため三橋さんは近くで栽培した牧草を与えている。それでもバッタの風味は独特で、他の昆虫にはない。高級食材になる可能性も秘めている。「雑草でも育てられるので耕作放棄地も河川敷も生かせる。農家の方が副業として取り組めるかもしれない」と三橋さん。もし乾燥飼料が誕生し、効率化が進めば大量生産の可能性が広がりそうだ。

少し草の香

 収穫したバッタは伊勢原市内で粉末に加工し、青森県で「トノサマバッタせんべい」に焼き上げる。記者が試食すると、サクサクとした食感で、ほんのり草が香った。今年6月からの試験販売(4枚入り390円)ではアミューあつぎ内「あつまる」などで販売され、すぐに売り切れた。まだバッタが大量生産に至っていない事もあり、今は在庫がないという。

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