戻る

厚木・愛川・清川 人物風土記

公開日:2023.04.28

3月に大学を卒業し、高齢者向けの新たな企画を準備している
池田 正さん
厚木市王子在住 85歳

学んで伝える、生涯かけて

 ○…差し出す名刺の裏には肩書がずらり。福祉関連の委員を務める中で、難しい医療用語や「コンプライアンス」などの横文字に出くわすようになった。「深く知りたい。どうせなら…」と4年前に東京通信大学・人間福祉学部へ。英語や憲法といった一般教養から、分厚い資料を手元に看護学を学んだ日もあった。「素晴らしい先生ばかりでね」と名残惜しそう。もうすぐ卒業式という3月に入院することになり、この時ばかりは「何とか出席を」と主治医に訴えた。その熱意が通じ、当日は車いすでキャンパスへ。念願の卒業証書を手にした。

 ○…日本一の棚田と、豪雪で知られる新潟県十日町市出身。美しい故郷はいつもまぶたの裏にある。冬は電柱の高さまで積もり、雪を何十mも踏んで道を作るのが子どもの役目。友達同士でつないだ小道で登校した。大学では教員の資格をとり、綾瀬市の小学校に勤務。音楽の時間になるとハーモニカを持って山にのぼり、ヘビやカエルをお土産に持ち帰る。日曜日にも子どもたちを呼んで野外教室。枠からはみ出た思い出は、いつの同窓会でも盛り上がる。

 ○…傘寿をこえて学び続ける意欲は、ひとつの問いから生じている。高齢者が高齢者を支え、持続させるにはどうしたらいいか。これまで地域で様々な共助に携わってきた。5月には高齢者のサロンづくりを控え、さらに月1回のお買い物ツアーなるものも計画中。健康づくりを兼ねて歩きながら今日はここのスーパー、次回はあのお店に‥という具合だ。「皆さん、外に出ましょう。助け合うから不安はありません」と呼びかけ、アイデアを語りだすと止まらない。4年かけて吸収したものを還元する時は今。もちろん自分も楽しみながら。先生の鑑だ。

ピックアップ

すべて見る

意見広告・議会報告

すべて見る

厚木・愛川・清川 人物風土記の新着記事

厚木・愛川・清川 人物風土記の記事を検索

コラム

コラム一覧

求人特集

  • LINE
  • X
  • Facebook
  • youtube
  • RSS