厚木・愛川・清川 人物風土記
公開日:2025.07.11
厚木市商店会連合会の会長を務める
富塚 裕之さん
厚木市在住 66歳
攻めの姿勢で変革に挑む
○…「変革を恐れていては時代に取り残されてしまう。自分たちの店や商品の魅力をどのように発信していくか」。厚木市内の12商店会を束ねる厚木市商店会連合会の会長にこのほど就任。昔からやっているという理由だけで続けてきた事業を見直し、既存の慣習に捉われない強いリーダーシップで、地域活性化の推進を目指す。
○…1865年創業の老舗「富塚豆腐店」の5代目。店の始まりは、牛の売買を行う馬喰(ばくろう)だった。牛の餌となるおからを購入する手間と購入費を省くため、初代が始めたのが豆腐店。その後、トラクターが普及すると、おからを豚の飼料にして養豚業と精肉販売も始めた。自身も豆腐屋を継ぐ前に、25歳で食品加工機械の設備会社に勤務した。「東京の業者に修理を依頼すると作業が止まる。だったら修理できる人間が店にいた方がいい」。合理的な経営哲学は、代々受け継がれてきたのだろう。
○…少年時代に好んで熱中したのは模型づくり。大人になってからも、仲間と共にミニSLを走らせ楽しんだ。自作のSLに乗った何十年も前の幼い息子の写真を見せながら「しばらくやってなかったけど、久しぶりに走らせてみるかな」と優しい笑顔。厳格な経営者としての顔とは異なる、遊び心と温かい人柄がにじみ出る。
○…商店会が本来の活気を取り戻すためには組織のあり方を見直し、誰かの利益に偏ることなく地域全体のことを考える必要がある。「厚木の町が盛り上がれば、結果として会員みんなの利益に繋がる」。それが理想だ。実現に向けては「とん漬けなどの名産品を知ってもらえるよう、実食できる場所を増やすなど、もっと戦略的に商品PRをしないと」。攻めの姿勢は揺るがない。
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