厚木・愛川・清川 人物風土記
公開日:2026.01.23
厚木市鳶尾の「もりや亭」でつるし雛展を開いている
武井 美智代さん
厚木市在勤 57歳
ひと針に込める温かな思い
○…厚木市鳶尾の「もりや亭」で開催中のつるし雛展に、初めて作品を寄せた。アミューあつぎなどで「つるし雛教室」を主宰し、講師歴は18年になる。転機は育児休暇中、書店で偶然手にした一冊の本。「本を見ながら、自分なりに作り始めた」。独学で始めた手仕事が専門家の目に留まり、導かれるようにこの道へ。現在は受講生に、形にする楽しさとよろこびを伝えている。
○…創作の根底にあるのは、古い着物をなどをほどいた「正絹(しょうけん)」へのこだわり。化学繊維には頼らず、伝統の重みを追求する。入手困難な古布から使える部分はわずかだが、「物の価値を分かってくださる方に繋いでいきたい」と手縫いにこだわる。今回の展示では、兜や刀などをあしらった「男の子用」のつるし雛を手掛け、「一作品飾っています。ぜひ見てほしい」と微笑む。
○…新潟県の出身。高校卒業後に全国規模の量販店に就職し、転勤を重ねる中で結婚、退職した。現在の仕事の背景には、夫と21歳になる息子の存在がある。自閉症スペクトラムという特性を持つ息子との歩みの中で、今の生き方を見出した。「息子がいなかったら、きっと違う働き方をしていました。あの子に助けられた部分もあります」と振り返る。今では息子が手伝いをしてくれることもあるという。
○…仕事以外の時間は読書やアニメ視聴に没頭する。現在は『キングダム』に熱中していて、「新刊の発売日はまず電子版で読み、その日に紙の単行本も買います」と笑う。「夜型なんで」と深夜に無心で手縫い針を進め、傍らの家族や愛兎が、ひと針に込める温かな願いを支える。高齢の愛好家が多い中で「若い世代にも文化の奥深さを知ってほしい」と願う。
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