共済病院分院 3病床順次休止へ 医師不足と建物老朽化で
横須賀共済病院分院(旧横須賀北部共済病院)が、一般病床と2つの療養病床を休止する方向で検討している。今月2日の市議会教育福祉常任委員会で、市が報告した。外来や訪問看護ステーションは継続するが、同院への入院はできなくなる。休止の背景には病院側の「やむにやまれぬ」事情もありそうだ。
横須賀共済病院は平成21年4月に同北部共済病院を分院化。急性期医療に特化した本院(米が浜通)に対して分院では慢性期医療を行うという役割分担を明確にし、本院で病状が安定した患者を分院で受け入れるなどの体制を整えた。病床の規模は一般病床60床、医療型療養病床46床、介護型療養病床36床。分院化後の1年間で月平均20人が本院から転院し、最近では40人にまで増えているという。
その一方で、分院では慢性的な医師不足となっていた。本院からヘルプの医師をローテーションで派遣し、慢性期医療を「何とか継続していた」(長堀薫分院長)状況。さらに、現在5人の常勤医が今年度末で2人退職し、3人になる見込みだ。
もうひとつの課題が、建物の老朽化。雨漏りするほどの状態で、耐震基準を満たしていない箇所もある。
こうした中で、病院側は10月末、分院の一般病床と医療型・介護型の2療養病床を休止する方針を固めた。先月、横須賀市や周辺の関係機関に説明した。
今後のスケジュールは、介護型療養病床を年内に、一般病床を今年度中、医療型療養病床を来年の早い段階で順次休止する方向。間近に迫っている「介護型」の入院患者約30人の受け入れ先は、おおむね目途がついているという。
外来は、患者の約8割が周辺の船越・田浦地域の住民ということもあり、継続する考え。耐震性を備えている病棟で診療を行うなどの選択肢も視野に入れている。また、訪問看護ステーションと治験センターも続ける意向だ。
市は延期求め
2日の同委員会での市の説明によると、現在市内で介護型療養病床があるのは、同分院と野比にあるパシフィックホスピタル(54床)の2病院90床。「介護型」は国の方針で廃止が決まっているが、市では今回の休止による影響は大きいと考え、病院に対して中止、延期などの再検討を求めた。
長堀分院長は「情報を小出しにして混乱を与えないよう、全体の方向性を決めた上で、短期間で(関係機関に)説明するプロセスをとりました」と理解を求める。「いち病院の問題ではなく、三浦半島全体の医療の問題として考えてもらえれば」と話し、病院完結型医療から在宅療養も含めた地域完結型医療への転換を模索している。
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