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横須賀・三浦 トップニュース

公開日:2012.11.30

漁網受け入れで県が説明
地元は意向調査実施へ

  • 計画案で漁網の埋め立て場所とされている「かながわ環境整備センター」(=市内芦名)

 東日本大震災で被災した岩手県から災害廃棄物の漁網を神奈川県で受け入れ、芦名にある最終処分場に埋め立てる考えを示している黒岩祐治知事は23日、地元の大楠連合町内会の住民を対象に説明会を行った。知事は、視察した現地の状況を説明し、漁網は「放射性物質に汚染されていない」と強調した。この日は吉田雄人横須賀市長も出席。「受け入れを私からもお願いしたい」と理解を求めた。同町内会では12月に意向調査を実施し、地元の意見を集約するという。



 漁網受け入れの計画案について県では7月、同町内会の役員に提案していた。今回は、加入する住民を対象に説明会を開いた形だ。会場となった県立海洋科学高校(長坂)には、事前に申し込みをしていた230人が参加した。



 冒頭、黒岩知事は昨年12月に県議会で発言した震災がれきの受け入れ方針について「地元の皆さんにご説明した上で表明すべきだった」と述べ、謝罪した。その上で、住民からは放射能を心配する声が多く寄せられたとして、放射性物質が不検出だという漁網を受け入れる案を示した。



 漁網の推計量は、岩手県洋野(ひろの)町からの1600トンと野田村からの400トンの計2000トン。焼却はせずに、芦名にある産業廃棄物最終処分場「かながわ環境整備センター」に直接埋め立てるとしている。放射性物質濃度は1キログラムあたり100ベクレル以下の漁網に限り、搬出前に現地で測定。事前のサンプル調査では検出限界(20ベクレル)以下だったという。



 知事は、持ち込むのは「放射能がついていない漁網」だと強調した。福島第一原発からの距離は、洋野町が320キロで野田村は300キロ。同原発から横浜までの250キロよりも離れている場所で、漁網は海の中にあったことからも汚染されていないという説明だ。



市長「私からもお願いしたい」



 吉田市長もこの日発言。「困ったときはお互いさまの精神で、受け入れを私からもお願いしたい」と述べ、住民に理解を求めた。



 その後の質疑応答では、「被災地支援になるのか疑問」「知事が現地を訪問したから要請されたのではないか」など、反対の立場からの質問が多くあがった。賛成側からは「漁網が自然発火しないのか」といった確認があった。これらに対し知事は、広域処理は国の方針だとし、漁網の受け入れは被災地の復興のためでスピードが大事だと答えた。現地に仮置きされた中から自然発火した報告は受けていないという。



 同センター(2006年竣工)の建設にあたっては、持ち込む廃棄物を「県内の産業廃棄物」に限定するという協定書が、県と地元町内会との間で結ばれている。「県外の災害廃棄物」は規定されていない。そのため、県が漁網を受け入れるには、地元と協議した上での新たな合意が必要となる。



 この日の最後に同連合町内会の長谷川俊夫会長は、「賛成反対いろいろ(意見が)ある」と述べ、来月アンケート調査を行う考えを示した。これにより、地元の意見を集約する。

 

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