横須賀市 国保料を引き上げへ 年間一人当たり1万円増
横須賀市は来年度から、国民健康保険料を引き上げる方針を示している。医療費の増加などを背景に、国保費が約34億円の歳入不足になると見込んでいるため。10億円分を保険料の増額改定で賄い、残りの24億円を一般会計からの繰入金を増額して充当する。上げ幅は一人当たりの平均で12・3%、年間約1万円の増額になるという試算。今市議会定例会で承認されれば、正式に決まる。
来年度34億円の歳入不足
市は昨年12月の第4回定例会教育福祉常任委員会で、国民健康保険費の2012年度決算見込みで約8億5000万円の歳入不足を見込んでいることを報告。その後、2013年度予算を見積る中で、歳入不足が34億円にまで膨れ上がる推計となった。
吉田雄人市長も、来年度の施政方針演説(先月18日・本会議)の中で国保の財政状況に触れ、「不足分については、一般会計からの繰入金を大幅に増額するとともに、市民の皆さまにも保険料の引き上げをお願いせざるを得ない状況」と述べていた。
保険料改定の条例改正案は市議会第1回定例会に提出され、審議が進められている。
今月5日の同委員会で市は、国保の収支が悪化し、繰越金が今年度で枯渇することを改めて報告。高齢者の保険加入率が高いことに加え、一昨年の12月以降は風邪やインフルエンザの流行で医療費が増えたことなどを理由としてあげた。
そこで、来年度の歳入不足34億円のうち、10億円を保険料率の改定で補う方針を決定。差し引き24億円は一般会計からの繰入金を増額して賄う。この繰入金は、増額分を合わせると53億円を超える見込みだ。
同委員会では「(12月の委員会で厳しい状況は聞いたが)保険料の値上げにつながる理解はしていなかった」「アップ率を下げるわけにはいかないのか」といった意見や質問があがった。
これに対して市は、所得階層別の改定率を15%以内に抑えて、値上げによる負担をできるだけ少なくすることと、県内各市の一人当たりの平均保険料などを考慮して決めたとし、理解を求めた。
今後は市議会で承認された後に、市民への周知を行う。6月の本算定の前にも、市の広報などで財政状況を伝えるという。
さらなる引き上げも
同委員会で市の担当者は「国の制度改正で医療費がマイナス成長しなければ、これからも歳入不足が生じていく。それに対しては、保険料の改定、一般会計繰入金の増額を選択せざるを得ない」と述べた。
今後の財政基盤の安定化について吉田市長は、先月末の本会議で「国・県に対して新たな公費投入の拡大を求める」とし、市としても医療費の適正化や保険料収納率の向上に取り組む考えを示した。
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